ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフは全部で4曲のピアノ協奏曲を書いた。
どれも違った趣を持っており、すべてが魅力的な作品だが、どういうわけか2番だけが突出した人気を誇っている。
確かにこの曲は名曲だ。
美しいとしかいいようのない曲で、
スケールが非常に大きく、
ロマン溢れる曲想といい、
哀愁を湛えたメロディといい、
クラシックにこれから親しもうという人が聴くならば、
クラシックってこんなに美しいのか!
そう思ってしまうこと必至の曲だ。
第一楽章。静かなピアノの和音が次第に大きくなっていく。オーケストラの登場とともにピアノは伴奏となり、主題が提示される。
第二楽章の表現はとても美しい。ロマンティシズムの極致だ。
第三楽章のフィナーレには、私は冷静さを保つことができない。
時間からも空間からも自由になって、ただ、音楽だけが傍にある。
そんな不思議な感覚に陥る。
◇ ◇ ◇
名演・名盤に事欠かない名曲だけあって、どれをセレクトするか本当に迷う。
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調
- アーティスト: リヒテル(スヴャトスラフ),ラフマニノフ,チャイコフスキー,ヴィスロツキ(スタニスラフ),カラヤン(ヘルベルト・フォン),ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団,ウィーン交響楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2001/10/24
- メディア: CD
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「ロシア的」?
それは何?
いったい?
それは、ドストエフスキーの小説に登場してきそうな、サンクトペテルブルクの風景だ。
職業意欲の薄い警官が昼間からウォッカを飲んでいて、
売春婦が街頭に立ち、
ごみ箱が倒れ、そこらじゅうにごみが散らかっている、
そんな薄汚れた町を学生ラスコーリニコフが野心を抱えて歩いている、
そんなイメージだ(行ったことはない)。
リヒテルの演奏はそんな空気を想像させてくれる。
- アーティスト: アシュケナージ(ウラディーミル),ラフマニノフ,ハイティンク(ベルナルト),アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
- 出版社/メーカー: ポリドール
- 発売日: 1995/04/21
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- アーティスト: ツィマーマン(クリスティアン),ラフマニノフ,小澤征爾,ボストン交響楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
- 発売日: 2004/01/21
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どの演奏が「ロシア的」かといわれれば、
しかし、感動の度合いは、
甲乙つけがたい。
どれが好きかと聞かれても、
私はこの曲、3枚のCDをその日の気分にあわせて聴く。
時間からも空間からも自由になれる、
そんな感覚を求めて。