絵について 丸亀市・猪熊弦一郎現代美術館
先週、仕事で香川県に行った時に、猪熊弦一郎現代美術館に寄ってきました。
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猪熊弦一郎氏(1902-1993)は、香川県の高松市出身の西洋画家です。東京・パリ・ニューヨーク・ハワイと移りながら、様々な作風を自分のものとして変貌していきました。
集英社新書から出ている、画家の千住博氏による『ニューヨーク美術案内』に、次のようなことが書かれていました。美術に触れるということは、画家の巨大なエネルギーを感じることである。たとえばゴッホ。ゴッホはまったく「塗って」いない。地道に一つ一つの線を描いています。ゴッホがひとつひとつ自然や人物などの対象を丹念に描いていく作業を、千住氏は、祈りのような、神と向き合う行為だと書いています。
真っ白な巨大なキャンバスに向かって一から表現していく。これは相当なパワーがないとできることではありません。
そうした創造のエネルギーに圧倒されたり、時にはまったく理解できなかったりします。
現代美術というと、難解なものに思いますが、そういう視点で見てみると、実物はものすごいエネルギーの塊だと感じました。(同時に開催されていた「スティーブ・マックィーン」展は、??でした。私の勉強不足・情報不足かも。)
作品は、美術学校時代のものから、パリ時代、ニューヨーク時代のものから最近のものまでが、数はそれほど多くはありませんでしたが展示されていました。作風はめまぐるしく変わり、年代が後になるに従って作品はシンプルなものになっていました。
猪熊弦一郎氏がパリに移ったのは36歳のとき。アメリカに移った時は50歳を超えていました。変化を恐れぬ勇気に、人間の可能性を感じました。最近では、年をとっても脳は活性化できるとか、老いることが必ずしマイナスなことなのではなくてできれば積極的に老いに向かって行こうという意見がすごく聞かれるようになってきました。アンチエイジングはこれからいっそう時代のキーワードとなってくるだろうし、脳を鍛えるドリルのような本やゲームも人気ですね。
この美術館で絵を見ながら、そんなことを考えました。