『フューチャリスト宣言』(ちくま新書・梅田望夫、茂木健一郎 著)
『ウェブ進化論』は、近年まれに見る破壊力を持った著作だった。平易でやさしい語り口だが、語られている内容はすさまじいインパクトに満ちたものだった。
既得権益に与る者を恐れさせ、持たざるものを勇気付けると同時に、天才的な頭脳だけが生き残る、はてしない競争を楽観的な未来観で予想した、現代の名著と言える。
いま読んでもその新鮮さは色あせない。
- 作者: 梅田望夫,茂木健一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/05/08
- メディア: 新書
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『フューチャリスト宣言』は、その『ウェブ進化論』の著者・梅田望夫氏と、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」の茂木健一郎氏という、売れっ子2人の対談集だ。
前作、作家の平野啓一郎氏との対談『ウェブ人間論』と同様に、『ウェブ進化論』の続編的な位置づけで読むことができる。
対談がメインなので、「ロングテール」、「Web2.0」、「オープンソース」、「クオリア」など、両者がいろいろな場面で語ってきたキーワードが、2人の会話の中で出てくるところが非常にわかりやすい。
『ウェブ進化論』ほどのパワーはないが、じゅうぶん価値のある内容だった。
本書の中で最も印象に残ったキーワードが、「システムの一人勝ち」だ。
ブログを更新したり、ミクシィなどのSNSに書き込みをしたりする事が、単なる数としての一意見の集積で、結局はグーグルやアマゾンなどのサイトをさらに太らせ儲けさせることになる、というもの。それでもいいや、グーグルを賢くしてやろう、というところが楽観的で面白いのだが…。
多くの人が利用者として参入してくるが、グーグルや、ユーチューブ、ウィキペディアなど、システムをつくったものが最終的に強いのだ。
ネットの「あちら側」と「こちら側」の違いだ。
さらにネット社会では「こちら側」のなかでも一票の重みが違う。社会的に影響力のある両者ですらそう感じているとは、一般の人はなおさらだろう。
ブログをやっていて感覚的に感じていた現象が、実に的確に言語化されていることにとても感心した。
◇ ◇ ◇
梅田望夫さんのほかの著作はこちら。どれも新鮮で鋭い切り口で現代を切り取っている。示唆に富んだ内容だ。
- 作者: 梅田望夫
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- 発売日: 2006/02/07
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- 作者: 梅田望夫,平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
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シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)
- 作者: 梅田望夫
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