「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」
この特別展は是が非でも観たかった。
というわけで先日、東京出張があったのをいいことに、東京国立近代美術館に足を運んだ。
アンリ・カルティエ=ブレッソンというとスナップ写真の神様のような存在だが、その存在は大きすぎて全体像が掴みきれない。
だからこの「知られざる全貌」と題した特別展は、そんな私にとっては申し分のない企画展だった。
アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌
"De qui s'agit-il?" Retrospective de Henri Cartier-Bresson
[会場] 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
[会期] 2007年6月19日(火)〜8月12日(日)
[開館時間] 午前10時〜午後5時(入館は閉館30分前まで)※金曜日は午後8時まで
[休館日] 月曜日 *2007年7月16日(月・祝)は開館、翌17日(火)は休館
[観覧料]
一般800(700/600)円、大学生400(300/200)円、高校生250(150/100)円
※( )内は前売/20名以上の団体料金
■「サン=ラザール駅裏、パリ」
展覧会の全体は次の各章に分かれ、各章が数枚〜数十枚の写真で構成される。
クラシック
ヨーロッパ
メキシコ
中国
インド
バリ、インドネシア
中東
風景
肖像
日本
ヴィンテージ・プリント
思い出の品
写真集と雑誌
デッサン
時代軸に従って進行していくのではなく、テーマを沿って展示されているのだが、展示されている写真の撮影年代は時にバラバラにされ、同じ国を別々の時間で撮った写真が驚くほどに通っていたり、あるいは全然違っていたりと、とても興味深い。構成の妙が光る。
■「サレルノ、イタリア」
全点見どころ揃いだったが、「サン=ラザール駅裏、パリ」、「イエール、フランス」、「シテ島、パリ」、「ベルリンの壁、西ドイツ」がとくに気持ちに反応した。イタリアもの、スペインものは全部よかった。
観ていると不意に温かい気持ちになってくる。
カルティエ=ブレッソンの写真は、人生を写し、心を写し、真実を写す。
表現されているのは温かさばかりではなく、人生の辛さ、厳しさ、残酷さもある光景だが、撮り手の善良な気持ちにシンクロするのだろうか。温かさを感じた。
「全貌」と名付けられているだけあって、非常に充実した写真展だった。
1,800円で購入したこの特別展の図録は素晴らしい出来だった。
■図録(1,800円)
他に唯一、注文をつけるならば、ミュージアムショップにカルティエ=ブレッソンの絵葉書がたった6種類しか売られていなかったこと。もっと欲しい人も多いはずだ。
◆アンリ・カルティエ=ブレッソン Henri Cartier-Bresson (1908-2004)◆
1908年フランス、セーヌ=エ=マルヌ県シャントルーに生まれる。画家を志しパリでアンドレ・ロートに学んだ後、31年から翌年にかけアフリカ象牙海岸に滞在中に写真を撮り始め、小型カメラ「ライカ」で撮影したスナップショットが注目される。30年代後半には映画監督ジャン・ルノワールの助手を務めるなど映画制作に従事。第二次大戦中は従軍し、ドイツ軍の捕虜となるも脱走、レジスタンス活動に加わり、大戦末期にはパリ解放などを撮影した。戦後47 年にロバート・キャパらと写真家集団マグナム・フォトを結成、以後インドや中国、アメリカ、旧ソヴィエト(当時)、そして日本など、世界各地を取材した。 52年に初の写真集を出版、そのアメリカ版の表題『決定的瞬間(The Decisive Moment)』は、カルティエ=ブレッソンの写真の代名詞として知られることになる。スナップショットによって、日常のなかの一瞬の光景を、忘れがたい映像へと結晶させる作品は、同時代の写真表現に大きな影響を与えた。70年代以降はドローイング制作に専念、2004年フランス南部の自邸で死去した。(「東京国立近代美術館」のサイトより引用)
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