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大フィル定期・大植英次×小曽根真


大フィル(大阪フィルハーモニー交響楽団)の定期演奏会に行ってきた。私は1月の定期演奏会を都合によりキャンセルしているので2ヶ月以上振りのコンサートということになる。

12月のラフマニノフがとても良かったので行く前から期待度「大」だった(→その時のブログはこちら)。

大阪フィルハーモニー交響楽団
第415回定期演奏会


2008年2月15日(金)
18:00開場 19:00開演

ザ・シンフォニーホール


指揮:大植英次
独奏:小曽根真(ピアノ)※

プログラム:
ラヴェル/道化師の朝の歌
ガーシュウィンラプソディ・イン・ブルー
ベルリオーズ幻想交響曲


http://www.osaka-phil.com/dbimages/20080214.jpg
(画像は大フィルのHPより)


◇  ◇  ◇


今日はチケット完売状態で、補助席に加えて立見席も出るほどの満席。


ラヴェルオーケストレーションの魔術師と言われるラヴェル管弦楽曲の面白さを堪能した。こういう曲はやはり実演に限る。短い曲で、終わってしまうのが惜しいほど楽しい時間だった。


続くガーシュウィンラプソディ・イン・ブルーではジャズピアニストの小曽根真さんが登場。

ピアノパートにだいぶ手が加わっていて、ピアノソロの部分はカデンツァというよりジャズのインプロビゼーション、つまりアドリブだ。スリリング。クラシックを演奏してもやはりジャズの人なんだと思った。

小曽根さんは即興的な魅力に溢れた熱演を聴かせてくれた。端整で歯切れの良いタッチに、几帳面なリズム感に裏付けされたドライブ感。圧倒的。オーケストラがピアノについていけない部分もあったが、全体的には素晴らしい演奏だった。


ベルリオーズ幻想交響曲


この曲は良く知られているように、ベルリオーズの体験に基づいた、次のようなストーリーからなる標題交響曲だ。

「ある若い芸術家が恋に狂い恋に破れ、この世を嘆いてアヘンを飲んで自殺を図る。しかし毒物の量が足りなかったため死に至ることができず、彼は深い眠りに落ち、その眠りの中で現実とも夢ともわからない不気味な出来事に襲われる。」


オーケストラの配置は、この曲では第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置をとっていた。第3楽章に第2ヴァイオリンが主旋律を演奏し第1ヴァイオリンが支えるという部分があるのだが、配置の妙がここで効いていた。5楽章でもそんな見せ場(聴きどころ)があった。


大編成オーケストラによる全体的にゆったりとしたテンポで、巨象の歩みのように重厚な演奏だった。スケールメリットと大フィルの演奏能力の高さを存分に発揮した演奏だった。


第1楽章。序盤の弱音の場面で誰かの携帯の音がピロピロピロ〜と(最低。最悪なことに着メロだった)。単なる不注意かもしれないがこういうのは本当にやめて欲しい。しかしこんなアクシデントにも指揮者もオーケストラも集中力の乱れは全く見せず、緊張感のある演奏を聴かせてくれた。


第2楽章のワルツは大変にゆっくりだった。最後までゆっくりだった。私はもう少し速い方が好みだが、この場面が大規模で壮大な舞踏会だと思えばこれはこれで良い。


第3楽章。静寂の世界。イングリッシュホルンのソロが絶妙だった。


第4楽章。中盤は金管と弦の音量のバランスを欠いた部分があったが、後半には修正できていたように思った。金管の迫力と艶っぽさは全曲を通して素晴らしく、文句の付けどころがないほどだった。

この楽章は、夢の中で女性を殺害した芸術家が死刑判決を受け断頭台に向かう場面を描いた楽章で、断頭台の刃が落ちる部分の描写といい、悪趣味きわまりないと思うのだが、音楽的には相当素晴らしい。


第5楽章。夢の中の死の世界。グレゴリオ聖歌の主題が用いられる。悪霊たちが哂い、はやしたてる。グロテスクな部分だが音楽的にはすごい。フィナーレの盛り上がりは相当なもので、手に汗を握るほどだった。


ベートーヴェンチクルスを終えた自信か、オーケストラの成熟か、指揮者のさらなる発展か、関係の向上か、原因は良くわからないが、ある種、突き抜けた感のあるほどのレベルの高さを見せた演奏会だった。


◇  ◇  ◇


今日と同じ指揮者、ソリスト、プログラムで東京のサントリーホールを筆頭に(2月17日)、呉(2月22日)、岩国(2月23日)でも公演が予定されている。各地で期待に違わぬ熱演を聴かせてくれるのではないだろうか。


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