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ベルリンの本2冊


夏になると「旅に出たくてたまらない」症候群になり、実際に以前はよく旅行に行ったものだったが、まず時間的に当分海外旅行には行けそうもない。行きたい気持ちが無くなったわけではないので始末に困るのだが、そんな時、紀行文や旅の写真集で欲望を中和している。


最近、書店の旅行書コーナーでは、ベルリン関連の本をよく目にする。ベルリンの本ってこんなに多かったんだって感じである。私が気付かなかっただけで、ベルリンの本は昔から多かったのかもしれないが、去年はベルリンの壁崩壊後20年のメモリアルイヤーだったので、それに合わせて出版されたものも多いのかもしれない。


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ベルリンには何年か前に行ったことがあって、そのときの印象はとてつもなく大きな町だということだった。ブランデンブルク門よりも、ベルリン大聖堂よりも、地図の縮尺が間違っているんじゃないだろうかと思ったほど、歩いても歩いても目的地に着かない長大な道路(道幅も広い)と、左右に並ぶやたらに規模の大きい無個性な集合住宅が印象に残っている。


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何しろ、ひとつの都市に、体制の違う国が2つあり、それぞれに1つないしは相応な数、役所、会社、中央郵便局、中央駅、美術館、映画館、オペラ劇場、オーケストラ、あるいは音楽監督までもが存在したくらいの都市だ。ひとつの町になった現在でも、スケールの大きさはベルリンの特徴のうちの大きなものと言えるかもしれない。


現在のベルリンは、エンターテイメントでも文化でも最先端を行く、刺激的な街というイメージだ。そんなイメージを伝える2冊。


地球の歩き方の別シリーズだけあって、旅行している気持ちで読める。ありきたりなガイドブックとは違って、ポピュラーかどうかよりも、ベルリンの最先端、つまり、とくに尖った部分を紹介しようとして成功しているように思う。例えば、ベルリンのどこかにあるスタイリッシュなカフェにふらっと入ったときに見える光景と感覚。ここは日本ではなくベルリン。そんな感覚が得られる本。


ベルリン―東ドイツをたどる旅 (私のとっておき)

ベルリン―東ドイツをたどる旅 (私のとっておき)

ベルリンの中の東ドイツに注目した、珍しい視点の良作。旧東ドイツのイメージでデザインされたホテル「DDRオステル」の紹介が面白かった。そこでは、フロントの世界時計ではハバナ、モスクワ、北京の時間が表示され、部屋はレトロでチープな家具で揃えられている。館内には旧東ドイツの政治家の絵が飾られ、新聞は東ドイツ社会主義政党の機関誌1紙のみという徹底ぶり。他にも、「走るボール紙」と言われた国民的な大衆車「トラバント」の話。映画『グッバイ・レーニン』で効果的に使われた東ドイツのピクルスのネタもある。


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*1:ブランデンブルク門・2004年8月撮影

*2:ベルリン大聖堂・同上

*3:旧博物館・同上