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ユンディ・リのスケルツォ集


「前々回のショパン・コンクール(2000年)」というともう10年も昔のことであり、実際随分昔の話なのだが、その覇者、ユンディ・リは2011年2月現在でまだ28歳である。先日、ふと、ユンディ・リは何歳くらいだろうと思って調べてみたら、28歳。まだそんなに若いのかと知って驚いた。


だとすると、18歳という若さでショパン・コンクールを制したことになるのだが、いま考えてみてもこれは快挙という他に表現しようがない。2010年の覇者ユリアンナ・アヴデーエワは25歳での優勝なので、10年も時を隔てた前々回の優勝者と今回の優勝者が同世代ということになる。ちなみに前回の優勝者、ラファウ・ブレハッチも25歳。象徴的であるし、おもしろい。


日本人が誰ひとり成し遂げていない優勝を中国人として初めて成し遂たユンディ・リは、センセーショナルなデビューを飾り、抜群のスター性もあって、現在もプロのピアニストのトップ集団を走っている。


スタイルは、テクニックは抜群、端正なタッチのひと粒ひと粒に若さが迸り、一言で言うと情熱的な演奏をするピアニストだ。ほぼショパンそのものというイメージのラファウ・ブレハッチが登場するまで、もっともショパンらしい演奏をするピアニストといえば彼だった。


一時期、ユンディ・リスケルツォばかり聴いていた時期があった。


ショパン:スケルツォ第1~4番

ショパン:スケルツォ第1~4番


4曲とも胸を打つ演奏で、何度聴いても飽きない。一番の魅力は「若さ」だ。ビビッドで張りのある音色、瑞々しいタッチ、躍動感のある演奏だ。若いというとプラスイメージだけでなく、マイナスイメージも持つが、この演奏からはマイナスイメージのない、ポジティブな意味での若さが全開で発散している。


若いから荒々しいのかというとそんなことはなくて、同時に揺るぎない正確さを備えている。ショパンの書いた音符をすべて演奏するような厳格さによって、楽譜がいかに合理的に書かれていたのか、作曲家の凄味が感じられるような演奏となっている。録音の時は20代前半だったはずだが、この時点ですでにピアニストとして完成されていた。


俊厳と聳え立つような演奏で、このレベルの演奏をしていたら、仮に2010年のコンクールに出場していたとしても優勝したはずだと私は思っている。


数年前のコンサート通いの日々の中でも残念ながら私は一度もユンディ・リの実演に接した機会がなかったのだが、いつか実演を聴いてみたいと思っている。


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