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大阪満喫の休日・新喜劇と串かつ


もし私が、JTBとかJRツアーズとか近畿日本ツーリストに勤めていて、大阪観光の一日モデルコースを提案するとしたら、午前中に道頓堀界隈を散歩してグリコの看板や、『かに道楽』の巨大なカニを見て、昼に吉本新喜劇を鑑賞して、午後に新世界で串かつを食べるというコースを組んでみたい。夜は梅田に出て北新地で飲むか、難波に戻ってフグを食べるか、好みに応じて選んでいただく(大阪ではフグは必ずしも高級料理ではなく安い店は本当に安い。2,000円くらいでコースが食べられる。ただし味は未知数。中には高級魚フグへのロマンと信頼を失わせるような店もある)。お客様にはかなり満足していただけると自画自賛している。ツアー名『大阪満喫の休日』。


大阪に住んでいても、なかなかそんなコースを歩くことはないのだが、先日、休みの日に体験してみたのが、そんなコースだった。


子供を保育園に送った後、突然、「なんばグランド花月で新喜劇を見たい」気分になったので、セブンイレブンで当日券を購入した。せっかくの休日なので難しいことを考えずに笑ってストレスを発散させたかったのかもしれない。いずれにしても、そんなわけで大阪の難波をぶらぶらする休日を過ごすことになったのだった。


■朝食にたこ焼き


道頓堀界隈を歩いた後、お腹が減ってきた。朝、食べて出て来なかったのだ。なんばグランド花月のすぐ近くに、たこ焼き屋が向かい合って2軒ある。『わなか』という店が有名で、行列ができていることも多いが、向かいの店(なぜか空いている)も別に悪くない。というか、差はない。だいたい、大阪で食べるたこ焼きは基本的にどこでもおいしい。逆に、まずいところを探す方が難しい。



『わなか』の向かいのたこ焼き屋(店名『たこやき座』)で、朝からたこ焼きを食べる。ついでにビールも注文する。平日の真っ昼間からビールを飲むというシチュエーションが(私は一般的に言って酒好きではなく、この時もとくに飲みたいわけではなかったというのがポイント)、バケーション気分に拍車をかける。普段几帳面な生活をしているわけではないが、それでも普段だったらありえないようなことをしてみるのが楽しい休日を送る秘訣である。だいたい、正月以外で朝10時半からビールを飲むなんて、ありえない行動だ。それが楽しさの肝である。


なんばグランド花月(NGK)で漫才と新喜劇をみる


平日ならよほどの人気タレントの出演の時でもない限り、当日券が買える。平日の客席を埋めるのは、他の地方からの団体客である。それでも半分から8割くらいの入りなので、売れ残りの当日券を全国のセブンイレブンでも買えるし、劇場の窓口でも買える。


大阪在住の人以外にはそれほど知られていないのかもしれないが、午前は11時から、午後は2時半から毎日、興行がある。大阪名物パチパチパンチのあの人とか、「ごめんくさい」のあの人とか、有名芸人が日常的に出演している。これはすごいことだ。1階席4,500円、2階席4,000円。舞台は2部構成で、1部が漫才、2部がテレビでおなじみの吉本新喜劇だ。


実際に舞台を見てみると、テレビで人気の若手漫才師や若手コンビよりも、中堅〜ベテランの漫才が圧倒的におもしろいことが分かる。この日の公演で言えば、海原やすよともこ、岡けんたゆうた。涙が出るほど笑った。浮き沈みの激しい芸能界で、爆発的に売れないながらもしぶとく生き残ってきた芸人さんたちは、すごい芸を持っている。


この日は、漫才はよかったが新喜劇はそれほどでもなかった。平日であまり気合いが入っていない舞台。稽古不足ではっきりいってグダグダだった。こんな舞台に接することができた経験は、ある意味、貴重。でもお約束のギャグで笑ってしまう。


■串かつを食べる


終演後、新世界に移動する。新世界というのは通天閣界隈を指す地名である。大阪名物の串かつを聖地・新世界で食べてみたかったからだ。



新世界は大阪の一番濃いところである。あまり上品とは言えないところである。もともとは歓楽街だが、独特のレトロな雰囲気を残しているので、いまは観光名所である。大阪の下町。下町中の下町。新世界は不思議なところだ。看板はどぎつく昔の歓楽街の雰囲気を残し、現代の日本でないみたいだ。真っ昼間から串かつ屋で飲んでいる人多数。見るところ観光客ではない。将棋場もある。昼間から将棋をやっている。劇場もある。地元の人に交じって観光客がいる。


『八重勝』、『だるま』という2店が、2大有名店だが、混んでいそうだったので今回はそちらに行かず、観光客向けの店の多いエリアで店を選んだ。



こちらは『串かつ・ホルモン 朝日』という店。


ソースは、おおきなブリキの缶に入っていて、それに直に浸ける。共用である。だから二度浸け禁止である。


日替わり5本で650円。衣すくなめ。串かつ以外のメニューも豊富で、居酒屋風である。普通の居酒屋の雰囲気なので、新世界で串カツを食べているという異文化体験の感動は少ないかもしれない。



どて焼きというのは牛スジを味噌で煮込んだ料理で、この付近の名物として知られている。2本では少ないかなとも思ったが、かなり濃い味なのでこれ2本で十分だった。


 


串かつ屋をはしごする。こちらは『串かつ・どて焼き 壱番』という店。24時間営業の珍しいお店だ。10本1350円の日替わりセットがある。10本なんて多いと思われるかもしれないが、普通にペロリと食べられる。その後、胃もたれもしなかった。


行く前から半分わかっていたことだが、今回の発見は、揚げたてはおいしいということと、聖地で食べる名物はおいしいということだった。別に希少でも何でもない串かつという食べ物だが、ここでは食文化の偉大なメインストリームを形成している。食い倒れの街、大阪の懐は深い。それを実感した。


◇  ◇  ◇


モデルコースに沿うと、この後、北新地かフグということになるのだが、子供を迎えに行く時間になったので、家に帰ることにした。それらは、もう少し子供が大きくなるまで待たないといけないが、午後のコースまでだけでも十分に大阪満喫の休日となった。


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