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斑鳩を歩く


土曜日に奈良まで行ってきた。


私はずいぶん前から一度法起寺に行ってみたかった。法起寺は、法隆寺地域の一連の仏教建造物のひとつということで、ユネスコ世界遺産に登録されている。世界最古の三重塔を持つ寺でもある。それほどの寺なのに、ポピュラーな法隆寺とやや離れていることもあって、超人気スポットというわけではないし、私も現に一度法隆寺に行ったときにスルーしている。ずっと行ってみたかったこともあって、土曜日に仕事が早く終わったこともあったので、斑鳩の方面に車を走らせた。


まずは腹ごしらえ、というわけで、サービスエリアで昼食。



奈良で名物と言えば、茶粥やにゅうめんなど、体にやさしいものばかりなので、ちょっとお腹が減っていてこってりしたものを食べたかったので、サービスエリアにあった中華料理にした。近鉄が経営する中華料理コーナーで、結構レベルが高かった。私はサービスエリアというものにそれほど興味がないが、どちらかといえば簡易的な空間でこれだけのものが食べられるということに、サービスエリア・マニアが存在する理由があるような気がする。


法起寺


車を走らせていて法起寺がすぐにわかった。しかし駐車場がない。そして駐車場的に使えそうなスペースも近隣にまったくないのだ。困った。ずっと行きたかった法起寺に駐車場がなかったという理由だけで帰るのも悔しい。


逡巡しながら当てもなく車を走らせていたら、やや離れた法輪寺に隣接して地域の無料駐車場があったので、そこに停めることにした。太陽は高い位置から容赦なく照りつけ肌を焼いた。周りの風景は日本のカントリーサイドのもの。田園風景。普通に目に飛び込んでくる風景の奥に見える古墳っぽい山。



法起寺は、聖徳太子の遺言により宮を寺に改めたものと伝えられていて、その遺構も近年の発掘調査により出土している。奈良時代の隆盛を極めたが、平安時代法隆寺の傘下に入り、しだいに勢力を弱めていった。室町時代には寂れ、江戸時代初期には三重塔を残すのみとなるほどに荒廃したが、延宝、元禄、文久の年間に再興を果たし、現在の基礎ができたといわれている。



規模は大きくはないが見どころのある寺だった。古いということはそれだけで価値があるし、限られた時間を生きるしかない小さな人間(私)からすると、畏敬の念を抱かせるものだった。深く考えずに、ありがたやという感じである。


法輪寺


駐車場だけ利用するものなんだかなあという感じなので、訪問。国宝に指定されていた三重塔が昭和に入ってからの落雷により炎上したことを知った。無常。



そんな歴史もあって法輪寺には古い建物は残っていないが、仏像がよかった。本尊の薬師如来坐像と、虚空蔵菩薩立像は飛鳥時代の作。弥勒菩薩立像、地蔵菩薩立像、吉祥天立像、米俵乗毘沙門天立像は平安時代の作。それらが一同に安置されている。さらにすごいのは、仏像の後ろにも通路があって、後ろから見ることができたことだ。


法隆寺


遷都1300年を経て、奈良の観光地はとても洗練された。道が広くなり、駐車場が近くにでき、売店が繁盛し、仏像の保存もよくなった。法隆寺はそんな典型例だ。以前に行ったときには、厳めしい中にも素朴さがあって、京都の巨大な寺などとは違って、いかにも「奈良の寺」という印象だったのだが、全体が、京都の巨大な寺みたいに豪勢になっていた。「豪勢」、「洗練」、「お金がかかっている」なんて奈良に最も似つかわしくない表現だが、法隆寺薬師寺唐招提寺は寺自体は別にしても、周辺がみんなそんな雰囲気になっている。



法隆寺で私が思い出すのが、「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」という正岡子規の俳句だが、いまの法隆寺にそうした朴訥とした自然の光景があるかといわれると、全然そぐわない。だいいち柿の木なんてどこにあるんだろう。



それでも、法隆寺の価値が揺らぐことはないし、むしろ仏像などの保存のことを考えると喜ばしい事なのだろうが、私は昔のイメージと違っていて驚いた。2回目の訪問のはずが、初めて訪れた場所のようだった。



法隆寺では、大宝蔵館がかなり見ごたえがあった。百済観音の名で知られる観音菩薩立像、観音菩薩立像、観音菩薩立像、地蔵菩薩立像。そして玉虫厨子。プチ博物館みたいだ。そして嬉しいのは冷房が効いていることだった。奈良斑鳩を満喫してパワーをもらった半日となった。


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