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聖地(プチ)巡礼〜高野山に行ってきた


高野山には社会人になって2年くらい経った時に一度行ったきりで、そのときのことはほとんど忘れてしまっていた。南海電車とケーブルカーとバスを乗り継いで、入り口である大門に着いて、その季節、アジサイが綺麗だったことと、鬱蒼とした森の中を歩いたことくらいしか記憶がない。


高野山は仏教における聖地である。歴史的にも聖地であったばかりでなく、21世紀の現在もリアルタイムに聖地である。なぜそう感じるのかうまく説明できないが、高野山は神聖で、特別な存在だ。高野山は人里離れた山上にある宗教都市で、同様の存在は日本全国見渡してみてもそうそうない。


そんな高野山を再び訪れたかった。時間的には先日ブログで書いた沖縄の旅行の前に当たる。ついに高野山に行くことができた。そんな感動を振り返りつつブログを書いている。


◇ ◇ ◇


土曜日。子供を義父母に預け、高野山に向かう。


ナビタイムで調べたら、だいたい2時間(車にナビは付けない主義)。しかし「地図で最短距離に見えた道路」として、「府道61号」をチョイスしたことが失敗の大元で、この「府道」は後で調べたら、典型的な「怖道」だった。


府道61号は堺市のあたりまでは幹線道路だが、和泉市南部は、はっきりいって難所で、『もののけ姫』の舞台のように原始的な森の中を抜けるルートで、車2台が対向できない狭さにもかかわらず、対向車が結構来る。カーブが連続し先が見えない。路面状態の悪い区間もあり、アップダウンも連続する。左は崖であることが多い。ぐったりし、なぜか腹が立ってきた。腹を立てるのも理不尽だが、対向できない狭さなのに避難できるポイントが少ないのもまた理不尽である。この道を抜けたときには2歳くらい歳を取ったような気分だった。そんなわけで、3時間近くかかって、高野山に着いたときには、聖地に辿り着いた感動もひとしおだった。



高野山霊宝館高野山には国宝の内のかなりの比率の国宝が有るというだけあって、コレクションがすごい。なかでも霊宝館は、「密教美術の宝庫」。弘法大師の書跡、多数の国宝仏像を拝むことができる。仏画の国宝としては『仏涅槃図』などを収蔵する。2年ほど前から私は仏像にとても関心があるので、とてもよかった。



壇上伽藍。高野山は1,000メートルを超える山に囲まれた小さな盆地で、交通手段の限られていた開山の頃はまさに天上の秘境。いまでも私みたいに車でもそこそこ苦労して訪れる。そこにこんな極楽的な伽藍がある。



奥の院空海弘法大師)の御廟があるのが奥の院だ。参道には皇室から武士の墓がある。身分や思想、信条、信教に関わらず、静かに祀られている。そんななかに無名の民衆の墓もたくさん。高野山に行ったら、何としても、奥の院に行かなければならない。と、前回のことをまるっきり忘れていたにもかかわらず、思った。ここには特別なものがある。神聖な場所だ。



ここより聖地。撮影禁止。人は多いのに、静謐な空気が流れている。ここでの時間の流れはきっと世間とは違う。



奥の院にお参りした後は、もう一度、中心部に戻ってきた。高野山にはお寺が点在し、それらをつなぐように町ができている。



金剛峰寺の主殿。全国の高野山真言宗の総本山。金剛峰寺とは比叡山における延暦寺のように、高野山全体をさす言葉だったが、現在は、真言宗総本山のこちらのお寺を指して金剛峰寺と言う。襖絵や庭が著名で、京都や奈良のお寺を拝観するような体験ができる。



広間の絵は、狩野法眼元信による『群鶴』、『松』の襖絵。高野山は太っ腹なので、写真撮影禁止などのルールはない。



国内最大級の石庭。ずいぶんモダンな印象であり、事実、新しく作られた。



休みなしに一気にお参りしたので昼食が遅くなった、昼は『花菱(はなびし)』でいただく。高野山御用達だけあって、精進料理のセットがメインだが、私はもっとガッツリ食べたかったので、「日々好日弁当」という名称の、幕の内的なメニューを注文した。由緒ある小料理屋のようにお店の哲学を感じる味。上品な味付けで、本格的だった。


高野山にはこの小さなエリアに100を超える寺院があるという位なので、もっと見るところ、お参りするところは沢山あったのだが、そろそろ子供を迎えに行く時間となったので、高野山に別れを告げる。「巡礼」というとせめて宿坊に泊まるくらいしないと「巡礼」とは呼べないだろう。だから、「プチ巡礼」くらいのお参りとなったが、それでも高野山の素晴らしさは感じることができた。


帰りは違う道を選択したためスムーズだった。『もののけ姫』のような森にも遭わず、未舗装の府道もなく、快適なドライブで聖地(プチ)巡礼の余韻に浸った。


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