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日帰り伊勢弾丸トラベル


日帰りで伊勢神宮に参拝してきた。


朝、子供を保育園に送っていって迎えに行くまでの約十時間。どこまで遠くまで行くことができるか。関西から行って帰るだけだったら、東京や博多まで行けるかもしれないが、現地で十分に時間を使い、充実した時間だったと、思い出に残るような日帰り旅をしようと思ったら、伊勢くらいが限界かもしれない。


伊勢神宮 (楽学ブックス)

伊勢神宮 (楽学ブックス)


ここ数日間、突然、なぜか、伊勢神宮に行きたかった。伊勢神宮は日本でも第一級の聖地であり、人気観光地であり、また関西からだとそれほど遠くないのにそれでも文化の違いを如実に感じられる土地でもある。


近鉄特急に乗り、伊勢神宮の森を歩き、伊勢うどんを食べ、別宮もいくつか参拝しながら、ある程度の時間を伊勢で過ごしてみたかった。


そんなわけで朝8時前に子供を保育園に預け、近鉄上本町から9時台の伊勢行きの特急電車に乗った。


平日ということもあって近鉄特急の乗客も少ない。多くはビジネス客で、多少、女性の二人旅らしき乗客。男二人旅というのはほとんど見ない。もちろんだが、朝の近鉄特急でビールを飲んでいる人はきっと一人もいない。私はビールを飲みたかったが、朝からそんな羽目を外すようなことがあったら、これからの道中が思いやられるという良心が働いて、飲むのをやめた。その代り、スポーツ新聞を買い、チーズ入りの竹輪をひとパック買った。


近鉄伊勢市駅に到着する。伊勢市駅付近には伊勢の外宮に加え、別宮である月夜見宮がある。今回の旅では伊勢神宮の別宮にも参拝してみたかったので、歩いて行ってみた。


歩くこと10分。駅前の住宅街を抜けると、鬱蒼とした森があって、そこに月夜見宮があった。



内宮、外宮同様に式年遷宮を済ませたお宮は真新しくて、生気がみなぎっていた。


その後、私は外宮に向かう。過去2回、伊勢に行ったときには、外宮に行けなかったので今回が初めての参拝となる。



内宮ほどの規模はないが、それでも十分に広い。これほどのものが市内に二つあるというのがすごい。



主祭神豊受大御神。食物・穀物を司る神だ。wikipediaで調べてみたらすごいことが書かれていた。豊受大御神は、伊弉冉尊(いざなみ)の尿から生まれた稚産霊(わくむすび)の子だという。「尿から」とか普通に書かれていて、少し複雑な気持ちになった。しかしこのことに限らず、日本の起源に関する、古事記日本書紀の記述は不思議なことが多い。



内宮に参拝する前に、昼食を採った。『二光堂寶来亭』という、ステーキ丼で有名な店で食事をした。松阪牛のステーキ丼で値段は2,980円だった。松阪牛は分厚く切られているのに、柔らかくて、噛むのに力が要らない。肉自体に甘みがある。これを食べたら他の牛肉は食べられない。こちら店は、牛肉のランクによって価格が異なっているが、松阪牛がおすすめだ。



いよいよ内宮の領域に踏み入れる。なんとなく緊張し、心なしか背筋も伸びる。



五十鈴川で手と口を浄める。昔はそんなことはしなかったが、以前、神社で一度試しにやってみたら、予想に反して非常に清々しい気分になったので、それ以来、神社を参拝するときにはそのようにしている。



伊勢神宮の森。英気が漲っている。私は霊感というものは全然ないが、この森は歩いていてとても疲れる。力強いものの影響下にさらされるのか、何かが障るのか、よくわからないが、距離以上に疲れを感じる。近所の人は毎日でも散歩すると言われるので、慣れるとこの感覚も違うのかもしれないが。しかし、以前に子供を連れて家族で行ったときに、普段走り回っている子供が急に「抱っこ抱っこ」と言い出したことを思い出した。この森にはきっと何かがあるのだ。



参拝を終えて大鳥居のところまで戻ってきた。どっと疲れが出た。伊勢神宮のパワーにやられてしまった。



その後、門前町であるおはらい町や赤福おかげ横丁を散策した。



小腹が空いてきた。食物・穀物を司る、豊受大御神が私に何かしたのだろうか。食欲が旺盛な日だ。何を食べるか。伊勢うどんしかない。おかげ横丁の『ふくすけ』という店だった。


伊勢うどんはコシが全然なくて、関西や讃岐のうどんに慣れた私にとって、別世界の食べ物だ。麺というよりは、水に浸した煎餅に近い。それでも決してまずいわけではなく、出汁もコクがあって、食べ応えがあった。まさにB級グルメという感じで、伊勢に来たら多くの人が食べているし、ファンが多いのもうなずける。



さらに小腹が空いているので、おかげ横丁の寿司屋のテイクアウトで、松阪牛の握り寿司を食べた。生臭さも肉の臭みも全然なく、歯ごたえがある大トロという雰囲気だった。


食べすぎてしまった罪悪感があったので、帰りはバスなどに頼らず五十鈴川駅まで歩こうと決めた。



途中寄った猿田彦神社。みちひらきの神様と言われる。猿田彦と聞いて私はまず第一に手塚治虫の『火の鳥』を思い出す。



月読尊を主祭神とする月読宮。おなじ「つきのよみのみや」でも漢字が違う。でもこちらの方が普通か。この「月読宮」という漢字を見たとき、なぜかドキドキしたことを思い出した。まず、好きな漢字だった。月の下で読書する、みたいな詩的なイメージで、ぜひ訪れてみたかった。


月読宮も、月夜見宮と同じく、樹木におおわれている。参拝してみて、やはり来てよかったと思った。新しくなった社殿が瑞々しくて、森全体に命を与えているようだった。


その後、五十鈴川駅まで歩いて、帰りは伊勢の地ビールを買って近鉄特急に乗った。以前、北京都に日帰りで弾丸トラベルしたときにはただ疲弊しただけだったが、今回は充実していた(→北京都弾丸トラベルのブログはこちらを参照)。電車で行ったというのが良ったのかもしれない。疲れ具合が断然違う。そして無事、子供を迎えに行く時間にも間に合った。子供にとっては自分が絵をかいたり遊んだりして過ごした普通の一日、父親がこんな遠くまで行ってきたとは思いもよらないことだろう。


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