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滋賀の旅・2015夏(2)湖北・観音の里


旅行二日目の朝は、5時半に目覚めた。6時半から根本中堂で行われる朝のお勤めに参加できるので、早めにアラームをセットしておいたが、アラームよりも前に起きた。



延暦寺会館を振り返る。根本中堂までは歩いて5分くらい。




早朝で一般拝観は行われていないので、境内は静まり返っている。6時10分過ぎに着いたら、一番だった。時間が近づくにつれて、徐々に人が集まってくる。



開門はきっちり6時半で、延暦寺の和尚さんがやってきて時間ぴったりに閂を開けてくれた。


お堂の中に入ると、既に沢山の僧侶がスタンバイしている。またその日は、高校生くらいの団体客がいて、事前に特別の祈祷が行われていたらしく、中にはすでに人が集まっていた。


お勤めは、観音経、般若心経などの読経に加え、私がとても嬉しかったことに、前日に祈祷を依頼したわけでもないのに、名前を読んで、家内安全と健康祈願をしてくれた。延暦寺会館の宿泊客の名前が呼ばれているようだった。宿坊に泊まるということが、修行の一環で、功徳を積むということなのだろうか。宿泊して最後に嬉しいことだった。



朝食も精進料理だった。昨日の夕食、夜の散策、お勤め、そして朝食。最後まで、普通の宿泊とは違う宿泊体験で、とても貴重な体験だった。


◇  ◇  ◇


2日目と3日目は、「観音の里」と言われる湖北(旧木之本町や旧高月町)の仏像を拝観することに決めていた。一度、この地方の仏像を集中的に見てみたかったのだ。


白髭神社


昨日通ってきた奥比叡ドライブウェイを経由して再び、大津市内に戻ってきた私たちは、昨日とは違って、北、つまり敦賀方面に向かって走り始めた。



こちらは滋賀県高島市にある白髭神社だ。神社から道を挟んで湖の中に鳥居がある。宮島に行って来ましたと嘘をついても短時間ならわからないのではないか。


高島市新旭水鳥観察センター


途中、『高島市新旭水鳥観察センター』に寄った。琵琶湖に飛来する水鳥を、小屋の中から望遠鏡や双眼鏡を使って観察できる施設で、正直、それほど期待をせずに行ったが、とてもよかった。



それは、どの程度見られるか、どんな鳥が見られるか、見られないこともあるのか、そういうことを全然、予備知識なしに行ったことによるが、施設の方が丁寧に解説をして下さった。カイツブリアオサギムクドリマガモ、カワウなど、こんな短時間でよくこれほど見れるのかと思うほど、たくさんの種類の水鳥を観察することができた。この写真ではよくわからないかもしれないが、この範囲にたくさんの水鳥が写っているはずだ。


◇  ◇  ◇


今回拝観したいくつかのお寺は、『アポなし不可』のお寺だった。このあたりのお寺は、予約拝観制である。全国レベルの仏像があるにもかかわらず、拝観のためには少々、敷居が高い。もともと拝観などは想定していなかった。まず絶対的に訪れる人が少ない。等々、いろいろな理由があるかもしれないが、京都や奈良の大きなお寺とは、拝観するシステムが大幅に異なっている。


近江若狭の仏像 (楽学ブックス)

近江若狭の仏像 (楽学ブックス)


アポの取り方もそれぞれで、お寺や世話方の電話番号を公開しているところもあれば、地域の役場の観光課で世話方の連絡先を教えてもらって連絡するところもある。連絡方法や、コースを考えるにあたって、こちらの本を参考にした。


■西野薬師堂


西野薬師堂も『アポなし不可』のところの一つだ。奈良時代末期の創建で、弘法大師のゆかりのお寺でもあるが、現在は公園内に簡素なお堂を残すのみとなっている。しかしこんな小さなお堂に素晴らしい仏像がある。



私たちが指定された時間通りに伺うと、お堂の中までは自由に入れるようだった。しかし厨子にはカーテンがかかっている。お堂におられた地域の世話方の人に声をかけると、そのカーテンを開けてくれた。御開帳、ご対面。仏像は薬師如来と十一面観音で、大きさはほぼ同じくらい。どちらも赤茶けており、とても古いことが想像できる。平安仏だそうだ。


■木之本地蔵院


地蔵院は、木之本の菩提寺といった風情の名刹だ。創建1300年を超える歴史を持ち、古くから宿場町として栄えた木之本の中心にある。



地蔵堂とも言われる本堂。



お寺のある町、線香の匂いがしたり鐘の鳴が音が聞こえる生活。私はそういうものとは無縁だったので憧れる。地蔵院は、予約なしで拝観できるが、本尊のお地蔵さんは秘仏。屋外のお地蔵さんは本尊の写しとも言われ、明治の作。戦時中、金属拠出の名目で取り壊されそうになったが、その難を逃れ、今に至る。


向源寺


 


向源寺は、国宝の十一面観音がよく知られている。井上靖白洲正子が称賛し、全国にファンも多い有名仏だ。私は2回目の対面となる。通常拝観可能で、専用に設えられた展示室の中にあり、後ろに回って拝観することもできる。美しい十一面観音であることに異論はないが、この地方の仏像に特有の、血生臭い歴史を背負っているかのような、怨念めいた雰囲気を感じることになり、見るたびに私は複雑な気持ちになる。


再び、木之本に戻ってきて、地蔵院の向かいの和菓子屋に入る。



窓の外に地蔵院が見える席で休憩をする。こういう景色が見えるところがお寺の近所にあったのかと思った。地蔵院の本堂を見ながら食べる甘いものは最高だった。


その後、木之本の商店街を歩いて、醤油の老舗やパン屋を見て、再び車に乗り込む。そして、『己高閣』、『世代閣』という二つの博物館(収蔵庫)を拝観した。時間も夕方になること、二日目の宿にチェックインした。


今度の宿は宿坊ではないので、夕食は、精進料理ではなく、魚、肉が出た。



久しぶりに魚を食べるような感じだ。1日抜いただけなのに。


 


刺身に牛肉。



ジュレみたいなものがかかっている。


 



夕食を食べた後、自動販売機でビールを買って部屋に帰った。



木之本で買った『つるやパン』の「サラダパン」をツマミにビールを開ける。『つるやパン』の「サラダパン」とはB級グルメ界で有名なパンで、具はたくあんをマヨネーズであえたもの。まずくはない。しかし美味しいかといわれると・・・。いやいや、ファンにはたまらないはずだ。しかし、意外に食べられる、という以外には言葉が見つからなかった。久しぶりのビールが効いたのか、睡魔が襲ってくる。そんなふうにして、旅行の2日目は終わる。


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