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當麻寺の紅葉


奈良県葛城市の當麻寺に紅葉を見に行って来た。


今年はまだどこにも紅葉を見に行っていなかったこともあり、そういえば3年前くらいに訪れた當麻寺の西南院の紅葉が良かっただったはずだと思い出して、勤労感謝の日の休日に行ってきた。


紅葉シーズンでもあるし、祝日なので周辺の駐車場の混雑を多少心配したが、杞憂だった。一番近くの駐車場もけっこう空いていた。



車を停めて境内に足を踏み入れてからも、閑散としていると言って良いくらいの参拝客の少なさだった。


■西南院


當麻寺塔頭の一つ、西南院。シャクナゲ、牡丹、紅葉で有名。関西花の寺霊場の一つだ。仏塔古寺の霊場でもある。仏像も大変素晴らしく、常時公開されてはいないが、本日より特別拝観が行われており、素晴らしい十一面観音、千手観音、聖観音を拝観することができた。



西南院には美しい池泉回遊式庭園がある。庭園を歩きながら紅葉を鑑賞する。庭園の入り口すぐのところに水琴窟がある。その音が映画のオープニングのBGMのように聞こえてくる。







空一面を覆うような紅葉ではない。量としてみると控えめだが、樹齢200年を超える紅葉の木が3本あり、色は黄色、橙色、赤に染まるという。まだ見頃を迎えるまでには数日早かったかもしれないが、色付きはじめた紅葉越しに見える西塔の姿が美しかった。


■奥院


奥院への参道に宝物館がある。その周辺は紅葉の名所だ。こちらは盛りを過ぎて、葉の落ちている樹も多かった。しかし、部分的にはまだこれから見頃という紅葉もあった。




奥院は本堂から登ったところに位置しているので、ここから、當麻寺に現存する西塔、東塔という二つの塔が見える。



奥院の浄土庭園。私はこの庭園がとても好きで、かれこれもう、5回以上は来ている。現生と浄土の世界を表しているとされ、池の向こう、つまり彼岸には仏像が鎮座する。現生から仏のいる極楽浄土へ旅するようなストーリーとなっている。この庭園は、なぜかいつも空いていて、とても静かで落ち着いている。日常の細かいことを忘れる。




宝物館のところまで戻る。紅葉がかなり落ちて、すっかり晩秋の趣を見せる。


その後、本堂と、講堂、金堂を拝観する。本尊が仏像ではなく曼荼羅だというのが、私が初めて知った時からこのお寺を強く印象付けるもので、現在は文亀曼荼羅と言われる室町時代のものが本尊として祀られている。オリジナルの當麻曼荼羅(根本曼荼羅)は、大変貴重なもので、損傷も激しく、一般公開はほとんどされない。しかし2013年に奈良国立博物館の特別展で30年ぶりに公開された。私はかれこれ5回以上當麻寺に行っているのに、この特別展は見逃した。そのことはいまでも残念に思っている。


當麻寺は素晴らしい仏像の宝庫で、先述の西南院の特別拝観に加え、奥院の宝物館には二十五菩薩来迎像、本堂には十一面観音と役行者、金堂には弥勒菩薩と四天王(多聞天広目天は現在修復中)、講堂には阿弥陀如来など、仏像ファンには堪らないお寺である。私も仏像好きなので、今回も全部拝観したが、一つ一つの塔頭で拝観料がかかるので、結構な出費となる。


■中之坊


池泉回遊式庭園である中之坊庭園が紅葉の見どころ。また、特別拝観として書院が公開されていた。





西南院があと数日で見頃なら、中之坊はあと数日早ければ、という具合だった。紅葉の進行具合と、休日の巡りは「運」だ。絶妙のタイミングで行くことができた、ということは数年おきにしか経験できない。しかし、まさに見頃、というわけでなくても、1年ぶりに見た、お寺と紅葉という組み合わせはとても美しかった。好きな仏像を拝観して、美しい紅葉も見て、良い休日となった。