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ブルックナー・交響曲第3番「ワーグナー」


ブルックナー交響曲第3番は同じドイツの作曲家・ワーグナーに献呈されたため、「ワーグナー」という標題で呼ばれている。

とはいえ、現在よく聴かれる「ワーグナー」は、第1稿の世界初録音であるインバル盤など一部のCDを除いて、ワーグナーの音楽からの引用はかなり省かれている。

ブルックナーが改訂の度に、引用を削っていったのは面白いところだ。


■インバル盤

ブルックナー:交響曲第3番

ブルックナー:交響曲第3番


一般的にいって長くてとっつきの悪い(ファンとしてはまたその長さがよいのだが)ブルックナー交響曲の中では、4番「ロマンティック」(→過去の記事はこちら)と並んで聴きやすい曲だと思う(8番、9番は傑作だが、いきなり挑戦するには敷居が高い)。

交響曲第4番「ロマンティック」が自然の神秘を描いたとすれば、第3番「ワーグナー」はもっと人間寄りというか、精神の神秘を描いているような印象だ。


立派でいかめしい第1楽章、美しい第2楽章。そして第3楽章のスケルツォの高揚感と、第4楽章の勇敢な音楽は、何度聴いても飽きない。

私は1曲全部聴いた後、また始めから聴き直したくなる。


◇  ◇  ◇


ブルックナー交響曲のCDで迷ったら、ギュンター・ヴァント&ベルリン・フィルを買えば間違いない」と乱暴に書きたくもなるが、この曲には残念ながら録音が存在しない(北ドイツ響を振ったCDはある)。そこで私は以下の3枚をとくによく聴いている。


■朝比奈盤

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朝比奈隆&大阪フィル。楽譜はノーヴァク版第3稿を使用。スケールの大きさが素晴らしい。オーケストラも大編成で臨んでいる。大フィルの厚みのある弦の音色はドイツのオーケストラのようだ。テンポは全体的にゆっくり。第3楽章などは「かなり急速に」という楽譜の指示を無視して遅い演奏となっているが、ゆったり歌われることによって見える美しさもあるのだと感じる。この規格外ともいえる演奏に慣れてしまうと、他の全てのCDの第3楽章がせっかちに聴こえるので、ある意味、怖い演奏とも言える。


チェリビダッケ

ブルックナー:交響曲第3番

ブルックナー:交響曲第3番

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チェリビダッケ盤。楽譜はノーヴァク版第3稿を使用。比較的、ゆったりとした演奏だが朝比奈盤ほどではない。ものすごい熱演で、指揮者の唸り(叫び!?)声も収録されている。唸るたびにオーケストラの音量が増しリズムの刻みが厳格になってくるので、指揮者との絶対的な主従関係が見える。細部の詰めもばっちり。ハーモニー、テンポ、完璧。


アーノンクール

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アーノンクール盤は、ノヴァーク版第2稿を使用。上の2つに比べると、楽譜の違いやアーノンクールの音楽作りの特徴に起因する部分もあって、かなりアッサリしている。その分、個々のパートを聴き分けるのに都合がよい。大編成・大音量のブルックナーも良いが、こういう明晰さを追求したブルックナーもアリだと思う。


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