長距離ドライブに聴きたいクラシック音楽
帰省ラッシュとUターンラッシュで高速道路が大変なことになっている。私は夏休みを9月に取る予定なので盆もないのだが、通勤の帰りに「高速渋滞を避ける車による一般道の渋滞」に巻き込まれるので他人ごとではない。
渋滞中の車内では音楽くらいしか楽しみがない。気に入ったCDを持ってきてないときに渋滞に巻き込まれる悲劇と言ったら、サービスエリアまでまだかなりあるにもかかわらずトイレに行きたくなった時の悲劇と並ぶ。
遠出する前にどのCDを持っていくか選ぶのは楽しい。クラシック音楽というジャンル自体が長い曲が多いのだが、中でも交響曲は長い曲が多いので、近所のコンビニに行く時などは冒頭の主題さえ終わらないうちに着いてしまうので、楽しみも半減する。通勤でも道が空いていたら、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」の第3楽章の途中くらいで着いてしまって、残念な気持ちになるときもある。
だから長距離ドライブの前には普段聴けないCDを持って行こうということになり、CD選びが楽しい。
長距離ドライブに聴きたいクラシック音楽。それは長い曲で、(時間的にも精神的にも)日常的にはあまり聴く余裕がない曲が向いている。言い換えると、「渋滞中でもなければ聴く気にならない曲」とも言える。
パッと思いつく限りでは、ブルックナーの交響曲第8番や、ショスタコーヴィチの交響曲第8番などが長いので、無条件に良いのではないかと思う。ショスタコーヴィチの8番など、親しみにくい点が素晴らしい。ブルックナーの交響曲第8番は例外的に、私は家でも部分的には毎日のように聴いているが、長距離ドライブの時に全曲通して聴いてみたい。
あとは、マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」。先日、京都まで車で行った時には、行きに第一部を2回聴き、帰りに第二部を1回聴いた。
この曲は長いだけでなく、「千人の交響曲」という標題が示す通り規模も大きいので(なにしろ初演時には舞台に1,000人が上がったと言われている)、家で聴くには躊躇する。
音楽だけを聴いている時間というのも最近は少なくなってきているので、運転には集中しているのだが、「(音楽を)集中して聴いたな〜」という満足感があって、この曲が身近なものに感じられるようになった。行く前と行った後で、「千人の交響曲」という曲への距離も変わったように感じた。大げさに言うようだが、はじめて、この曲が、自分のものになったような気がする。
他にマーラーだったら3番も長距離ドライブに良いのではないかと思う。
あと他には、オペラのCDも良いかもしれない。例えば、泊まりで出かける時などに、行きには第1幕、現地で第2幕、帰りに第3幕、なんて感じで、うまくいかないだろうか。
◇ ◇ ◇
≪長距離ドライブに聴きたいクラシック音楽≫
【ルール】
・長い曲から選ぶ。
・普段は好んで聴かない曲から選ぶ(例外あり)。
「長距離ドライブに聴きたい」というより、「家では大げさすぎて聴けない」というのが正しい。
マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」&交響曲第10番からアダージョ
- アーティスト: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団バーンスタイン(レナード),プライス(マーガレット),ブレーゲン(ジュディス),ツォイマー(ゲルティ),シュミット(トゥルデリーゼ),ヴァルツァ(アグネス),リーゲル(ケネス),マーラー,バーンスタイン(レナード),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,ショルツ(ルドルフ)
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2010/10/06
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
ブルックナーは8番と5番が双璧。親しみにくいということはないのだが、通しで聴くには躊躇する。5番はCD1枚に収まっていることが多いが、8番の多くは2枚組である。運転中は危険なので、サービスエリアの休憩中にディスク入れ替えをしよう。ブルックナーを聴く人には分かると思うのだが、あの長大な交響曲を最初から最後まで聴き通したときの高揚感というのは他には代えがたいものがある。さらにその時に目的地に着いていたらこんなに良いことばかりでいいんだろうかという感じになるはずだ。
- アーティスト: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ヴァント(ギュンター),ブルックナー,ヴァント(ギュンター),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2006/12/06
- メディア: CD
- 購入: 3人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
同じように長い曲でも、7番は家でも聴けるが、8番は厳しい。戦争について描いたとされていることから想像される通り、陰鬱で親しみにくい点がポイント。
- アーティスト: ウィーン交響楽団,ショスタコーヴィチ,インバル(エリアフ)
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2004/03/24
- メディア: CD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
同じマーラーでは、8番に次ぐ。2番、9番は家でも聴ける。8番、3番は大げさすぎて、長距離ドライブの時か、コンサートでもないとしんどい。
- アーティスト: ブーレーズ(ピエール),ウィーン楽友協会女声合唱団,ウィーン少年合唱団,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,バウスフィールド(イアン),マーラー
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2002/12/18
- メディア: CD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
クラシック音楽の最高峰のひとつ。マタイも日常的には辛い。「長距離ドライブで聴きたい」というよりも、「マタイを聴くためにドライブに出る」という気持ちで、片道3時間半くらいの目的地を選ぶのが正しい!?
- アーティスト: ヨハン・セバスティアン・バッハ,カール・リヒター,イルムガルト・ゼーフリート,ミュンヘン・バッハ合唱団,ヘルタ・テッパー,エルンスト・ヘフリガー,ミュンヘン少年合唱団
- 出版社/メーカー: ポリドール
- 発売日: 1991/09/25
- メディア: CD
- 購入: 4人 クリック: 26回
- この商品を含むブログ (52件) を見る
7位 ベートーヴェン・ピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」
器楽曲だけあって、先に挙げた曲と比べると短いが、ピアノソナタとしては破格の規模の曲。技術的にも大変で、聴き手も疲れる曲である。
- アーティスト: ポリーニ(マウリツィオ),ベートーヴェン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2009/11/11
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
8位 ヤナーチェク・オペラ『利口な女(牝)狐の物語』
有名オペラだが、「渋滞だ!どうやって時間をつぶそう!?」という時でもなければじっくり聴けないだろうという先入観から。
- アーティスト: チェコ・フィルハーモニー管弦楽団ノイマン(ヴァーツラフ),ノヴァーク(リハルト),ハヌシュ(カレル),ブルトロヴァー(ヘレナ),プルーシャ(カレル),ハヨーショヴァー(マグダレーナ),フリドレヴィチ(ミロスラフ),ムラーゾヴァー(マリエ),ノイマン(ヴァーツラフ),ヤナーチェク,チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2008/09/24
- メディア: CD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログを見る
名曲だが、通しで聴くには私は疲れる。しつこいくらいの繰り返しと、しつこいくらいに甘いメロディが、長距離ドライブに合う。
- アーティスト: プレヴィン(アンドレ),ラフマニノフ,ロンドン交響楽団
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2006/07/26
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (2件) を見る
10位 ヴェルディ・レクイエム
まるでオペラのような絢爛豪華な宗教曲。コンサートホール以外で聴くとしたら、車内が一番合うのではないかと勝手に思う。
- アーティスト: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団アーノンクール(ニコラウス),メイ(エヴァ),フィンク(ベルナルダ),シャーデ(ミヒャエル),ダルカンジェロ(イルデブランド),アルノルト・シェーンベルク合唱団,ヴェルディ,アーノンクール(ニコラウス),オルトナー(エルヴィン),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2005/08/24
- メディア: CD
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (1件) を見る