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ウィーンフィル・ライブCD『シェーンブルン宮殿 夏の夜のコンサート2010』


8月も残すところ1日となった。今年の夏について思い出してみると、7月に沖縄に行って暑さをこれでもかと堪能したことを除けば、海にもプールにも行かなかったし、スイカもほとんど食べなかったし、花火もしなかったし、「夏らしいこと」をほとんどしなかった。子供の時には虫捕りに行ったり早朝のラジオ体操をしたり川で水遊びをしたり、夏の季節を満喫したものだが、大人になって、季節と無関係に進行する時間軸の中に生きている。今年の8月は仕事ばかりしていた印象がある。


夏の終わりは物悲しい。できなかったことが多いだけに。そして朝夕は涼しさを増してくる。


シェーンブルン宮殿 夏の夜のコンサート2010

シェーンブルン宮殿 夏の夜のコンサート2010


このCDは、毎年恒例のシェーンブルン宮殿でのウィーン・フィルによる野外コンサートを収録した2010年のライブCDだ。天下のウィーン・フィルが、『スターウォーズ』を演奏したことで話題となった。夏の野外コンサートの知名度ニューイヤーコンサートほどではないが、ウィーンの夏の恒例の行事となっている。このコンサートを振る指揮者として、2011年はゲルギエフが、2012年はドゥダメルが登場した。この2010年のコンサートは、小澤征爾の後任としてウィーン国立歌劇場音楽監督となったフランツ=ウェルザー・メストが振っている。

1. 映画≪スター・ウォーズ≫からメイン・タイトル
2. ワルツ≪天体の音楽≫ 作品235
3. リスト/ピアノ協奏曲第2番イ長調
7. 練習曲第2番変ホ長調パガニーニによる大練習曲 S.141から
8. レイア姫のテーマ 映画≪スター・ウォーズ≫から
9. 帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)映画≪スター・ウォーズ≫から
10. ワルツ≪宵の明星≫作品180
11. 月の出の合唱 (歌劇≪ウィンザーの陽気な女房たち≫から)
12. ホルスト/火星、戦争をもたらす者 (組曲≪惑星≫から)
13. ワルツ≪ウィーン気質≫作品354


ウィーン・フィルがポピュラー名曲を演奏するという点だけで「買い」のCDだが、全体を通して素晴らしいアルバムとなっている。


オープニングは、映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズが書いた『スター・ウォーズ』のテーマで、満天の星が振ってくるかのような煌びやかさ。ゴッホの『星月夜』をバックにしたシェーンブルン宮殿のイメージで、このアルバムデザインがとても美しく、当夜の観客にはこのジャケットのように神秘的な光景が見えていたのかもしれないと想像する。


リストのピアノ協奏曲ではピアニストとして欧米で評価の高いイェフム・ブロンフマンが登場する。定期演奏会でしか聴けないような立派なコンチェルトで、文句なしに素晴らしい。大変、巧いピアニストだ。


スターウォーズ』の「帝国のマーチ」は、ダース・ベイダーのテーマとして知られている。まさかウィーン・フィルの演奏でこの曲を聴けるとは思わなかった。ホルストの『惑星』より「火星」なども、アメリカのメジャー・オーケストラが演奏するような、シネコン的な迫力ある演奏とは一風違った、燻し銀のような上質なサウンドを聴かせる。


プログラムにはポピュラー音楽だけでなく、ウィーン・フィルお家芸ともいえるウインナワルツが含まれ、最後に『ウィーン気質』が演奏されるなど、観客を楽しませる工夫が満載で、興奮は最高潮である。


このCDを聴いて、過ぎ去って行った今年の夏を偲ぶモードに入っている。


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