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軽井沢・安曇野の旅(1)


しばらく前の話になるが、家族で軽井沢に行ってきた。信州には義母の別荘があるため毎年9月か10月に必ず行っていて、行ったついでには穂高や仁科三湖や長野の善光寺にまで行ったりしていた。去年行ったときに、その「ついで旅」に来年は軽井沢に行ってみたいと家族で話していた。私たちは今まで軽井沢に行ったことがなかった。


大阪からだと、いつも行く安曇野までは名古屋経由で『特急しなの』で行くことになるのだが、軽井沢は東京経由の長野新幹線が最も早い。朝7時台の新幹線に東京行きの新幹線に乗った。



東京駅で駅弁『深川めし』を買った。朝、新大阪から東海道新幹線に乗る時には、朝食用に『すえひろ』の天むすを買って乗ったのだが、早めの昼食についても、長野新幹線の中で済ませるつもりだった。しじみの炊き込みごはんの上に、アナゴとハゼの甘露煮が乗っている。駅弁を食べて、すっかり旅のテンションになっている。



軽井沢では、駅前のプリンスホテルを予約していた。近くに『プリンスショッピングプラザ』もあり、結果的には、買い物にも食事にも便利だったので正解だった。敷地内をシャトルバスが走る大規模なホテルで、高級な『ザ・プリンス』からリーズナブルな『ウエスト』まである。私たちは温泉に惹かれ『イースト』に泊まった。9月末の軽井沢は肌寒く、温泉の温かさが身に染みた。清潔で、良い温泉だった。


ホテルにチェックインした後、駅前に戻り、タクシーを見つけた。最初に、ショー記念礼拝堂を目指した。この時の車窓の風景が軽井沢のイメージを決定づけた。軽井沢は「森」。私のイメージではもっと都市化されていると思ったが、道を一本入ると原生林のような森で、まるでファンタジーの世界だった。緑色の世界に別荘が点在している。車が停まっている別荘もあれば、人気のない別荘もある。夏は賑やかになるのだろうか。9月の終わりだったので、人出は少なく、森がまるで妖精が出てきそうなほど幻想的だった。




ショー記念礼拝堂は教会の行事が行われていない時間だった。教会の後方にあるショーハウスも見学することができた。



その後、旧軽銀座を歩いて、パンやハムを買って、軽井沢駅まで歩いた。軽井沢に限らずリゾートではどうして人はハムやパンを買うのだろうか。普段、そんなにハムを買うことなどないのだが。美しいリゾートには、どうして美味しいハムやパンの店があるのだろうか。


駅まで歩く途中で、軽井沢ニューアートミュージアムに立ち寄った。『松本零士』展や『草間彌生』展など複数のアーティストの展覧会が開催されていた。



ホテルにいったん帰り、夕食はプリンスショッピングプラザ内のサンクゼールのバイキング形式のレストランで食べた。念のため予約していったのだが、とても空いていた。私たちの他には家族が数組。一瞬、「まずいのか?」と不安に思ったが、徐々に席も埋まってきた。まずグラスワインを注文した。野菜が美味しくて、何回もおかわりした。



ホテルに帰り、駅で買っていた、軽井沢の地ビールを飲んだ。外は肌寒かったが、部屋は暖かかった。8月にはあまり休みを取らなかった。この休暇を待ち望んでいたことが思い出された。


◇  ◇  ◇


2日目はレンタカーを借りた。白糸の滝を見て、鬼押し出し園まで足を延ばした。台風が接近してきており、降水確率も60%くらいだったが、午前中は降らなかった。鬼押し出し園では、いまにも降ってきそうな雰囲気だったが、降らなかった。


軽井沢駅前から、白糸の滝までは30分くらいだった。いつの間にか長野県から群馬県に入っている。




白糸の滝。糸を引くような繊細な流れに癒された。横に広いので、どう撮っても全体が入らない。この繊細で美しく、平和な感じがなかなか伝わらない。



白糸の滝から鬼押し出し園へは15分くらいで到着する。行ったことはないが恐山もこういう雰囲気なのだろうか。京都の化野念仏寺などにも共通する、「あの世モード」が漂っている。凄い。死んだらこういう場所に行くのだろうか。




鬼押し出し園の後、『ハルニレテラス』がある星野エリアを南下していって、『千住博美術館』に向かった。



美術館の展示は素晴らしかった。私が今まで行った国内の美術館の中ではベスト5に入る。この美術館は、様々なアーティストの作品を展示している美術館ではなく、名前の通り、一人のアーティストの作品だけを展示した美術館だ。質・量ともに申し分なく、いま最前線にいる人の感性の迸りを全身で浴びたようだった。水が張られている滝の部屋があり、色が変わる滝の部屋がある。若いころの作品があり、シリーズもあった。白糸の滝を見た後だけに、揺さぶるものが違っていた。


千住博の滝

千住博の滝


写真を撮れないので(撮っても原画の迫力は伝わらないが)、画集のリンクを貼った。いつまでもこの滝の絵の前にいたかった。しかし子供には退屈だったようで、ソファーに大の字になったり、いやいやモード全開だった。美術館で落ち着いて絵を見られるようになるのは何歳くらいからだろう。夫婦で交代で子供を抱えてなだめ、それぞれ自由になった時間を絵の前で過ごした。





その後、再び星野エリアに戻り、車を停めて、少し歩いて、『石の教会』に行った。今まで見た中でも最も印象的な教会だった。この旅行は、印象的な場面に出会っている。軽井沢の森。白糸の滝。鬼押し出し園の奇岩。千住博の滝。そして石の教会。


そろそろ軽井沢を出なければいけない時間となった。その日の夜には安曇野まで行かなければならなかったからだ。外はいまにも降り出しそうな曇天となっている。車に戻り、エンジンをかけて走り出した時、雨がぱらぱらとフロントウィンドウにかかった。初めての軽井沢の二日間、なんとか天気がもってよかった。


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