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比叡山延暦寺の紅葉


先々週の金曜日に、比叡山延暦寺に行ってきた。いまは紅葉の季節だ。去年は仕事が忙しくて紅葉を見に行く暇がなかったのだが、今年は平日に休みを取れることが多くて、彼方此方、出掛けている。


比叡山延暦寺は、京都と滋賀の二県にまたがって広大な寺域を持つ山岳霊場である。比叡山延暦寺には、根本中堂がある東塔の他に、西塔、横川という地区がある。東塔から西塔までは山道を2キロくらい、横川までは西塔からさらに4キロ以上歩く必要があるので、もし徒歩でと考えるならハイキングするつもりで行った方が良い。ただし、それぞれの地区に駐車場があるので、車でもアクセスが簡単である。


せっかくの比叡山で、時間は十分にある。根本中堂だけ見て終わるのはとても勿体ないことだった。以前には東塔だけで時間切れになってしまったが、今回は午前中から、三塔全部回るつもりで来た。


■東塔


大阪からだと、比叡山は滋賀からのルートが近い。京都東インターで降りて、西大津バイパスを通り、比叡山ドライブウェイに乗るというのが最もポピュラーな行き方だ。家を出て1時間半後には延暦寺バスセンターの近くの東塔駐車場に着いていた。



比叡山は山全体なのでいつが紅葉の見頃というのが難しい。東塔全体はまだ見頃でがなかったが、部分的には見事に染まっている紅葉もあった。



根本中堂への参道の紅葉は見頃を迎えつつあった。



文殊楼の前の石段から見る根本中堂。根本中堂の前の紅葉は小さかったが真っ赤だった。もう少し日が経てば、全体が赤く染まってくるのだろう。



根本中堂は、いつ行っても、厳かな雰囲気に圧倒される。お堂の中は、外陣、中陣、内陣に分かれ、お参りできるのは中陣までとなっている。内陣は中陣から3メートルほど下にあり、内陣の様子を窓から覗くことができる。内陣の本尊は最澄自刻の薬師如来と言われる秘仏で、厨子の中である。その前に、法燈が3つある。それが1200年のあいだ燃え続けている「不滅の法燈」である。何度ここにきても、何度見てもその灯りは胸を打つ。織田信長による延暦寺焼き討ちの時にうち消されたが、山形の立石寺にに分燈されていたために、不滅を継承できたという。


「あきらけく のちの仏の御代までも 光つたへよ法のともし火」とは、伝教大師最澄が詠んだ歌である。



見事な色付きの紅葉が所々に点在している。



阿弥陀堂。お勤めの最中だったが、中に入ることができた。この辺りに来ると、東塔地区の中でも人出はまばらである。限られたエリアを歩くだけでも、坂は急で、石段も多い。


昼食は、境内の休憩所の地下に『鶴喜そば』の店舗があるので、そこでいただいた。



すっかり冷え切った体が温まった。


あとは、講堂、文殊楼、大黒堂、万拝堂、戒壇堂など諸堂をみて廻った。最後に、比叡山の中の宝物館的なスポットである「国宝殿」を拝観して東塔を後にする。国宝殿では、国宝や重要文化財が多数展示されている。国宝殿という名は、最澄の「一隅を照らす。これ則ち国宝なり」という言葉から採られている。


■西塔


東塔と比べると、ずいぶんひっそりとしている。団体ツアーの客はおらず、修学旅行生もいない。



参道の石段を下りていくこの雰囲気が、根本中堂と似ている。奥に見えるのが釈迦堂である。



釈迦堂は西塔地区の本堂のような存在である。比叡山焼き討ちの後、豊臣秀吉によって大津の三井寺から移築されたものであり、延暦寺の中に現存するお堂の中で最古の建築である。


■横川


西塔から横川へはやや距離があって、ちょっとしたドライブとなる。横川は紅葉の見ごろを迎えていた。ちょうど、紅葉祭りが始まった頃でもあり、秋限定、横川限定のお守りなども売っていた。



横川中堂。横川中堂の本尊は聖観音菩薩であり、常時拝観可能。体系はややふっくらとしており、穏やかな表情を浮かべた、優しげな観音様である。とても美しかった。この素晴らしい観音菩薩を擁する横川中堂は、新西国三十三ヵ所霊場の札所である。



元三大師堂。天台座主でもあった慈恵大師・良源の住居を起源とするこのお堂では、春夏秋冬、法華経論議が行われたという。そのため四季講堂とも言われる。おみくじ発祥の地でもあり、元三大師信仰の中心地として厚い信仰を集めている。


お参りを済ませ、靴を履き、門のところまで戻ろうとしたところで、遠くの方から良く通る声で、女性の僧侶から「おにいさーん、忘れ物!」と呼び止められた。「これお忘れと違いますか」。御朱印を書いてもらうときに机に出したままになっていたのか。小銭入れを忘れた。うっかりしている。後で気づいていたら、また来なければならないところだった。



元三大師堂を後にして、横川中堂に戻ってくると、逆光を受けた紅葉がとても鮮やかだった。燃えるような赤い紅葉も良いが、こんなふうに、まだ色づいていない紅葉も含めて様々な色が混じり合う紅葉もとても美しいと思った。



紅葉は逆光で見るのが最も綺麗だと思う。写真ではなかなかその美しさが伝わらない。



私は駐車場に戻って、車のシートに座り、朝に買ったお茶を飲んだ。



帰りは、行きと同じく、比叡山ドライブウェイを走って帰った。眺望は抜群で、遠くに琵琶湖が見えた。


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