USHINABE SQUARE

クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味

京都千本上立売『キッチンパパ』の洋食

クラシック音楽などの音楽全般のほか、洋食、旅行、カメラの趣味は現在も続いている。休みの日には好きな音楽を聴きながら電車に乗り、カメラを持って気になるお寺に行って、目的地近くの洋食の名店を訪れる。行きの電車、好きな音楽を聴いて、時にまどろみ、目的の駅の一つ前の駅で自分が寝ていたことに気付いたとき、これから始まる一日の充実感が予想されて、既に幸せな気持ちとなっている。いろいろな趣味や関心があるが、音楽、カメラ、食事など、一日でかなりの部分が解消される。そうしたなか洋食屋巡りのストックが貯まっていく。


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先日、京都洛北の名刹の庭園巡りをしたとき、昼食の店に『キッチンパパ』を選んだ。京都の洋食店の中ではそれほど古い店ではないが、多くのガイドブックにも載っている人気洋食店だ。私がその日目的地とするエリアからは外れているが、京都市内、車であればそれほど広くないので、昼を食べに行って、また戻ってくることが可能だ。


お店は千本通から上立売通を東に入る、慣れてなければ走りにくい細い道沿いにある。千本通り沿いの近くには釘抜き地蔵として知られる石像寺がある。店の近隣にコインパーキングはあるが、近づくまでわからなかった。私は今出川通りから細い道に入って北上していったが、場所の見当がつかず、大体の見当をつけて止めたパーキングは店からかなり遠かった。店に向かって歩く途中、店からもっと近いところに二つのパーキングを見つけた。結構な距離を歩くことになってしまった。しかし、休みの日に、京都市内のあまり過去に歩いたことのないエリアを歩くのは楽しかった。


『キッチンパパ』は米屋の奥にある。入ってすぐのところは米屋兼精米所になっていて、その奥が店となっている。その日食べる分の米は、随時、玄米から精米される。そんなこだわりのある店だ。


平日の昼で、12時近く。昼時とはいえ平日なので、空いていると予想したが、満席だった。私は店頭の椅子で15分ほど待ち、やがて席に案内される。それほど広くない。先客の姿を見ると、サラリーマンのほか、この近所の人らしき親子。親は母親だけで子供は2歳か3歳くらいだろうか。続いて、熟年の夫婦。他には外国人観光客のカップルの姿もある。二人は中国語を話していた。男性の方は体格がかなりよく、短パンをはいている。女性の方は黒髪のストレートヘアで、ずっとスマートフォンを触っている。いかに京都、有名店、とはいえ、千本上立売のこんな住宅街に、外国人というのが意外だが、外国のガイドブックでも紹介されているのだろうか。


私は、ハンバーグとエビフライのセットを注文する。1280円。日常のランチにはすこし高価だが、洋食の有名店としては決して高くはない。妥当なラインだ。


料理が運ばれてくるまでは、しばらく待つ。客の回転は速くはない。手作りの店でよくあるくらいの待ち時間がかかる。そのうちサラダが運ばれ、その後、ご飯と味噌汁が運ばれる。店内の黒板に、ご飯は今日の米は何処産の何々銘柄と掲げられている。米屋なので、米が大切なのだ。




サラダを食べ終わった後、まずは米だけで食べる。繊細な味覚であれば、米自体の甘みでおかずすら不要だ。炊き立て、ご飯はやや柔らかめ、米本来の香りが立ち上る、水の美味しい土地で食べるような米だ。味噌汁さえあれば、これだけで一食いける。しかしその後にメインが来るのである。


時々、別の店ではあるのだが、「ご飯が残念な名店」というのがある。おかずが美味しくてもそういう店はある。逆に、「ご飯が美味しい店」がある。ご飯が美味しい店は何故か、おかずも美味しい。これは期待できる。


満席の状態が続き、さらに客が入ってくる。そうした客に先にメニューを渡すこともないし、急かされるように皿を片付けられることもない。
店はそれほど急いでいない。焦っていない。客も急いでいない。早食いせざるを得ないような状況も作られてはいない。時間は悠然と流れている。京都らしいという感じもする。京都のこういう部分は良い部分である。普段はセカセカした時間を過ごしているので、こういう時間が大切なのかもしれない。空席ができ、先ほどまで待っていた他の客も、席に案内されて初めてメニューを見て、考えて、注文をする。



ご飯の後、一呼吸置くくらいのテンポで、メインのおかずが運ばれてくる。ハンバーグとエビフライの組み合わせが最強である。ザ・ごちそうという感じがする。


ハンバーグは牛肉の旨みたっぷりだ。つなぎを感じさせない。その辺りは、本格的で、大阪・心斎橋の『グリルばらの木』に近い。ソースは苦味のあるデミグラスソースで、王道の味。大人も満足するハンバーグだ。エビフライはしっかりと身が詰まっており、これだけでも主役を張れる。そして、それらを受け止める米の美味しさ。



アップで。エビフライは大きめ。ハンバーグの存在感に負けてない。その存在感は、エースと四番が一対一で向かい合って座っているようなイメージである。衣でカサを増しているなんてことはない。エビ自体が太い。ハンバーグとエビフライの違い。デミグラスソースとタルタルソースの違い。それを同時に味わえるハンバーグとエビフライの組み合わせはやはり最強だった。待った甲斐があった。



私は食べ終え、会計を済ませて店を後にする。記念に、外から外観を撮影する。そして遠目のコインパーキングに向けて再び歩き出す。

【キッチンパパ】

住所:京都府京都市上京区上立売通千本東入姥ヶ西町591
営業時間:11:00~14:00/17:30~20:50※ごはんが売り切れ次第終了
定休日:木曜