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ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番・第5番「皇帝」

今日はピアノ協奏曲について。

以前に三大ヴァイオリン協奏曲のことを書いたが、ピアノ協奏曲から三曲選ぶのは大変だ。


結論から言うと無理。


傑作ぞろいのこのジャンル。
ざっと思い浮かぶだけでも、J.S.バッハモーツァルトベートーヴェンブラームスシューマングリーグショパンにリスト。チャイコフスキーラフマニノフラヴェルプロコフィエフ。ざっと挙げただけでも両手で足りない。


ベートーヴェンのピアノ協奏曲だけで5曲あり、いずれも音楽史に残る傑作だから、


この5曲の中から3曲選んだだけでだけで埋まってしまう。


これでは、ブラームスシューマンも怒るだろう。


◇  ◇  ◇


さてさて、本題に入ろう。

ベートーヴェンの5曲のピアノ協奏曲は、どれもが傑作だが、最もポピュラーなのが「皇帝」の副題を備えた5番だ。

第一楽章、堂々としたオーケストラの序奏に続いて、ピアノが入ってくる冒頭を聴いただけで、壮麗な世界の中に吸い込まれる。美しい第二楽章。終わりに近づくにつれて、第三楽章の主題が少しずつ示されて、勢いが蓄えられる。そのまま切れ目なく第三楽章が始まる。フィナーレの華やかさは、まさに「皇帝」にふさわしい。


なんと勇ましい、壮麗な曲をベートーヴェンはつくったのか。


世界の広がりといい、精神性の深さといい、まさに、ピアノ協奏曲というジャンル中の「皇帝」だ。

この曲の名盤だが、ルービンシュタインのピアノとバレンボイムの指揮によるこのCDは、その「皇帝」の中の「皇帝」だと思う。

ベートーヴェン : ピアノ協奏曲第5番 「皇帝」

ベートーヴェン : ピアノ協奏曲第5番 「皇帝」

世界的なピアニストでもあるバレンボイムには、他にもベルリン・フィルを弾き振りしたCDがあって、これもまた素晴らしい演奏だ。

こういう演奏を聴くと、現代のピアニストの中でもっとも「皇帝」らしいのはバレンボイムだと思ってしまう。


さて、4番。

超・傑作の5番に勝るとも劣らない(やや勝っているのでは!?)のが4番だと私は思う。

非常に優雅で美しい曲だ。

ピアノの独奏で始まる冒頭は音楽史的に画期的なものだ。奇を衒ったような気がしないでもなかったが、この独奏が第一楽章の中盤でいきてくるのだから驚く。展開は文句なく叙情的で美しい。ドラマチックでもある。狂気を含んだ第二楽章。華麗としかいいようのない第三楽章。

この曲の素晴らしさは言葉では表現できない。

この曲で私が一番好きなCDは、ツィマーマンとバーンスタインによるものだ。


この両者の音楽性はとても合っていると思う。


バーンスタインのおおらかなところと、ツィマーマンのピアノの透明な響き。
ベートーヴェンにはもっとゴツゴツとしたピアノが好みだという人は多いかもしれないが、ツィマーマンの端正な演奏がこの曲の美しさを際立たせていることは確かだ。


◇  ◇  ◇


今日は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、第5番について書いたが、冒頭にも書いたように、もちろん1〜3番も素晴らしい。


だいたい本当は私は、第4番が一番好きで、次に好きなのは第1番だったりする。