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苦手な曲・ブラームス・交響曲第4番


とても有名な曲なのに苦手な曲がある。


私にとってブラームスの最後の交響曲・第4番ホ短調がそれだ。


朝には聴きたくない。

布団を被ってもっと眠っていたくなる。


夜にも聴けない。

寝る前に聴くと寝つきがとても悪そうだ。


ただしこの曲は、ブラームスらしく、渋い大人の魅力に溢れている。


厭世的な気分に覆われながらも、芸術的にも精神的にも成熟したブラームスならではの技巧が駆使されていて、内容的には文句のつけようがない。


第1楽章。冒頭から悲痛な叫び。

第2楽章。ユーモラスなホルン独奏に木管が入る。弦楽器と溶け合い感動的な音楽となる。

スケルツォ風の第3楽章。踊るような、舞うような音楽。

シャコンヌを用いたバロック的な第4楽章。


この作品の、晦渋ともいえる渋みは、晩年のブラームスが達した境地で、数多くの楽曲の中でもひとつの頂には違いない。


私も名曲かと問われれば、迷わず名曲と答える。

嫌いではないが、少々、苦手だ。


◇  ◇  ◇


ブラームス交響曲第4番は、名曲だけあって、素晴らしい録音がいくつもある。


Symphonies 1-4

Symphonies 1-4

ザンデルリンクは全集の中からのチョイス。全集の中でも4番の出来は際立っている。旧東ドイツのオーケストラならではの、薄暗い森の中に聳え立つような、重く暗い響きはこの曲に最も合う。ブラームス交響曲第4番のスタンダードと言える。


ブラームス:交響曲第4番

ブラームス:交響曲第4番

クライバー盤は、生命力に溢れている。それでいてしつこくない。かなり濃そうなのに、飲んでみると意外にどんどん飲めるスープ。そんな印象だ。オーケストラの集中力はただものではない。他のCDと同様、クライバーは、ブラームスの、と言うよりもクライバーの音楽にしてしまう。このCDに慣れてしまうと、他の演奏では物足りなくなる。そんな魔力に満ちた一枚。


ブラームス:交響曲第3・4番

ブラームス:交響曲第3・4番

ドホナーニ盤は、ストイックな演奏だ。クリストフ・フォン・ドホナーニは、過去にギュンター・ヴァントも務めた北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者を務めるドイツ人指揮者だ。このCDは、ザンデルリンク盤がもっさりしすぎている、と感じる人にはベストだ。ベタつかず、あっさりしすぎず、とにかくバランスの良い一枚。テンポも文句のつけようがない。そして弦楽器の艶っぽい響きがとにかく美しい。


ブラームス:交響曲第3番&第4番

ブラームス:交響曲第3番&第4番

ハーディング盤は新鮮だ。演奏されつくしたこの曲の新しい面を見せる。素晴らしいのはディティールの見通しの良さだ。小編成のオーケストラで何をやりたかったのかがよくわかる。


この曲が苦手でなくなる時が来るのだろうか。


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