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『ノヴェンバー・ステップス〜尺八、琵琶とオーケストラのための』小澤征爾×サイトウ・キネン


『ノヴェンバー・ステップス』は、日本が生んだ世界的な作曲家・武満徹が、ニューヨーク・フィルハーモニックの委嘱を受け創立125周年記念作品として書いた曲だ。


武満作品の中には親しみやすいメロディを持つ作品もあるが、『ノヴェンバー・ステップス』は現代音楽そのもので、前衛的な曲だ。

メロディは難解で、耳を刺すような不協和音、独特の音階、琵琶と尺八の音色には、オーケストラ曲であるにもかかわらず、クラシック音楽を聴いているという印象はない。


この曲には妙に落ち着きはらった気分があって、不愉快さや不快感はない。全編に漲る緊張感と静けさは、「肝が据わっている」という感じだ。

これは「田舎の夜なか、皆が寝静まった丑三つ時、納屋の横の屋外の便所に一人で歩いていく」ような感覚だ。怪談、満月、肝試し、畳、蚊帳、虫、虫除けスプレー(?)、そんな世界を連想する。また、花札の絵柄の世界のようだ。


日本人の感性で最もよく理解できる世界ではないだろうか。


武満徹 : ノヴェンバー・ステップス / ア・ストリング・アラウンド・オータム / 弦楽のためのレクエイム 他

武満徹 : ノヴェンバー・ステップス / ア・ストリング・アラウンド・オータム / 弦楽のためのレクエイム 他


だから演奏は日本のオーケストラ、日本人指揮者、日本人演奏家によるものが素晴らしい。背筋がピーンとするような緊張感がある。


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