小山実稚恵 ピアノ・ロマンの旅(第4回・幻想と現実)
ピアニストの小山実稚恵さんのリサイタルに、大阪のいずみホールに行ってきた。
大阪のいずみホールは、ザ・シンフォニーホール(1704席)と比べると一回りも二回りも小さなホールで(821席)、2階席は左右のバルコニー席のみで、器楽や室内楽の演奏会を聴くには最適の規模のコンサートホールだ。
音響の素晴らしさには定評があり、時々「超」豪華公演があって、昨年はアーノンクールがモーツァルトのレクイエムを振った。
そんないずみホールでのリサイタル。ピアノの演奏会の鑑賞は久しぶりだ。
小山実稚恵 ピアノ・ロマンの旅
第4回 幻想と現実
■会場:いずみホール
■開演時間:14:00
■出演者:小山実稚恵(p)
■演奏曲目:
▽シューマン:「クライスレリアーナ」(8つの幻想曲)op.16
▽J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903
▽シェーンベルク:6つの小さなピアノ曲 op.19
▽ショパン:幻想曲 ヘ短調 op.49
▽ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 op.36
小山実稚恵さんは、チャイコフスキー国際コンクール(第3位)、ショパンピアノ国際コンクール(第4位)という2つの世界的コンクールに入賞した実力派ピアニストで、日本人ピアニスト中では私が相当好きなピアニストのうちのひとりだ。
2006年から始まった、『小山実稚恵 ピアノ・ロマンの旅』と題するこのシリーズ。
最終回の2017年まで12年に及ぶ、考えただけでも気が遠くなる全24回の長期シリーズだ。
東京では、Bunkamuraオーチャードホールで開催され、大阪では今日行ったいずみホールで開催されている。
長大なシリーズなので全部に行くことは出来ないが、可能な限り足を運ぼうと思った。
(画像はBunkamuraのサイトより)
◇ ◇ ◇
今日は客席が6割ほどしか埋まっていなかったが、そんなこととは関係なく、素晴らしい演奏を聴かせてくれた。
「音量の豊かさ」が特に感じられたところで、小山実稚恵さんは、男性ピアニスト顔負けの力強いタッチで、フォルテでは非常に大きな音量が出ていた。
シューマンは幻想的でデモーニッシュ。今日のプログラムのコンセプトをよく表わしていた。
バッハは非常にテクニカルな曲。フィナーレが素晴らしかった。
シェーンベルクは短い曲だったが、堪能した。現代音楽に近いが小難しい要素は少なく、ファンタジーを感じさせる緻密な演奏だった。
ショパンの幻想曲。聴けば聴くほど凄い曲だ。この曲に共感できるということは、19世紀人のメンタリティーも現代人のメンタリティーもそう変わっていないのではないかと思った。これほどのクオリティの演奏を生で聴けて非常に満足だった。
ラフマニノフのピアノソナタは、私は特に第2楽章を好んでいることもあって、とくによかった。繊細で切れ味の鋭い演奏だった。
アンコールはラフマニノフの前奏曲集より3曲(!)も。こちらも本プログラムに負けず劣らずよかった。
(↓面白かったらブログランキングに応援のクリックよろしくお願いします。)
人気blogランキングへ