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クリスティアン・ティーレマン×ミュンヘン・フィルin大阪


指揮者のクリスティアンティーレマンミュンヘン・フィルの大阪公演に行ってきた。


随分前にチケットを購入していた公演で、このコンビによるブラームスの1番のCDがとても良かったこともあって(→そのときのブログはこちら)、非常に楽しみにしていた(チケットはA席で21,000円と高価だった)。


Brahms: Symphony No.1 / Beethoven: Overture

Brahms: Symphony No.1 / Beethoven: Overture "Egmont"

2007年11月7日(木)19:00
クリスティアンティーレマン指揮
ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団


指揮=クリスティアンティーレマン
管弦楽ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団
曲目=
▽R.シュトラウス交響詩ドン・ファン」op.20
▽R.シュトラウス交響詩死と変容」op.24
〜休憩〜
ブラームス交響曲第1番ハ短調 op.68
≪アンコール≫
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より「前奏曲


例えば、黎明期のJリーグが峠を過ぎた外国人選手を高年俸で受け入れたことから「年金リーグ」と揶揄されたように、来日オーケストラと指揮者でもそんな場合が少なくない。「昔の名前で飯食ってます」的な半分バカンス気分(!?)の来日公演が少なくないのだ。


しかし当夜の演奏会は、そんな名前だけデカイ来日オケの顔見せ公演とは無縁の超弩級の演奏だった。


ティーレマンミュンヘン・フィルの演奏は、まさに「脂が乗った」という表現がぴったりの熱演で、「いまが旬」の指揮者とオーケストラであることを強く実感した。


◇  ◇  ◇


オーケストラの配置は、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置で、ヴィオラは第2ヴァイオリンの横、チェロは第1ヴァイオリンとヴィオラの間、コントラバスはステージ向かって左奥という配置。


100名近くの大編成で、なかでも第1ヴァイオリンは18名と増員されている。


指揮はすべて暗譜。指揮棒を下から上に振り上げるスタイルは独特。狙い通りの音が出るとニッコリと微笑む。そんな場面がとても多かった。


R.シュトラウスの2曲はどちらも甲乙つけがたい、素晴らしい演奏だった。CDで聴く限り、この指揮者は弦楽器の音色とハーモニーにマニアックなコダワリを見せる指揮者だと思っていたが、この2曲では木管の巧さと金管の存在感が際立っていた。とくに「死と変容」では、オーボエが非常に印象的だった。とても小柄な女性奏者で私の席からは姿はよく見えなかったが音はよく響いていた。


第1ヴァイオリンの首席奏者のソロは抜群の巧さだった。巧いだけでなく旨かった。


ドン・ファン」、「死と変容」のトゥッティでの迫力も素晴らしかった。金管も煌びやかだった。


ブラームス。R.シュトラウスも良かったが、やはりブラームスの1番の演奏は別格だった。


第1楽章。提示部の繰り返しはCDと同様。繰り返しは賛否あるが生の演奏ではアリだ。美しい弦の音色を2度堪能できて幸せだった。ミュンヘン・フィルの弦の美しさは絶品で、重厚な中に華やかさがあるというか、屈強な戦士が繊細な心を持っているというか、奥深い美しさだった。


第2楽章は、この曲から加わったクラリネットの女性奏者が抜群の巧さを見せた。全体的にも、この曲の中では軽い楽章だが1フレーズも手を抜かない集中した演奏だった。


第3楽章は、ややテンポも速くなる。フィナーレへの期待も高まる。


第4楽章は、やはり相当力が入っている。極限の集中力で大事に演奏しながら最後には大爆発を見せた。フィナーレの盛り上がりはかなりのもので、「いま心拍数を測ったら相当上がっているだろう」と思った。


至高の弦の音色。テンポの揺らぎ。硬軟自在のオーケストラドライブ。大爆発の前の溜め。オペラのような盛り上がり。大筋では録音で聴く通りだが、実演ではさらに燃えている。まさに脂の乗り切った指揮者とオーケストラの見せた熱演。圧倒的だった。


拍手は鳴り止まず指揮者は何度も舞台に呼び戻され、日本・大阪では珍しいスタンディングオベーションも起こっていた。アンコールはワーグナーで、徹頭徹尾、ドイツ・プログラムを楽しんだ。


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