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ラファウ・ブレハッチのプレリュード


ショパン:前奏曲全集、2つの夜想曲

ショパン:前奏曲全集、2つの夜想曲


2005年のショパン国際コンクールの覇者、ラファウ・ブレハッチの弾くショパンのプレリュード(前奏曲)集を聴いている。このCDには、24の前奏曲だけではなく、作品45と遺作の前奏曲、2つの夜想曲(作品62)、マズルカ(作品50−1※日本盤ボーナストラック)も収録されている。


24の前奏曲は、24の長短調すべてに対応する調整で書かれていて、「長」−「短」というように、全曲にわたって長調短調が交互に配置されている。バッハの平均律クラヴィーア曲集のコンセプトと同じだ。


一曲一曲は短い曲が多いのだが、穏やかな曲や激しい曲、哀しい曲、切ない曲、甘い曲や愉しい曲など、短い中で様々な情感を湛えている。それを全曲を通して聴くことで宇宙的ともいえる無限の広がりを感じる。ひとつひとつの作品が傑作であるばかりでなく、全体を通して聴くことで一層の傑作ぶりが発揮されるわけで、これは一人の作曲家による究極のコンピレーションアルバムと言えるかもしれない。


私は、とくに第4番ホ短調、第12番嬰ト短調、第17番変イ長調、第20番ハ短調が好きだ。


その他、取り上げると、


第7番イ長調は「太田胃散」のテレビCMとして使用された名曲。とてもゆったりとしたテンポ。止まってしまいそうだが止まらない。CM出演していた長嶋一茂氏の顔が脳裏に浮かんでしまうため、私はこの曲にそれほど入り込めないが、この演奏はリリカルでとても素晴らしいと思う。


第15番変ニ長調は「雨だれ」の名で親しまれており、エチュード(練習曲)の第3番「別れの曲」、ノクターン夜想曲)第2番と並んで、ショパンのロマンチック名曲ビッグ3(!?)をなす。寂しくて切ない感情が切々と語られる。


第24番ニ短調は最後を締めくくる曲として、重厚でシンフォニックな構成感たっぷりの名曲。スケールの大きなこの曲を聴き終わると、またはじめに戻って聴き返したくなる。


◇  ◇  ◇


このCDはラファウ・ブレハッチのグラモフォンレーベルからの初録音と言うことだが、このピアニストをどう表現したらよいのだろうか。


腰が据わっているというか、表現から感じられる深みが尋常でない。奇を衒った部分はなく実に丁寧で、品格のあるピアノと言える。音色にも陰影があって、コクが感じられる。当然、よく練習しているのだろうが、とにかく演奏(音色・テクニック・表現・情感)が磨き抜かれている。この曲がここまで光るのか、と言う感じだ。繊細なのに神経質さがそれほど感じられない点も私の好きな点だ。


以前のブログでブレハッチのピアノの特色を、「いぶし銀」に例えたが、その印象は今でも変わらない。上質なタッチを持つピアニストだ。次にリリースされるアルバムが楽しみだ。


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