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ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル 大阪公演


ラファウ・ブレハッチのピアノのコンサートに行ってきた。


かなり素晴らしい演奏会だった。ブレハッチの演奏は基本的に素直で(きっと人柄も素直に違いない)、作曲家の心が伝わってくるようだった。綺麗に粒を揃えた音色はとても優して品が良い。聴く人を幸せにするような演奏で、こんな演奏にはなかなか出会えないな〜と思った。

ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル

[ピアノ]ラファウ・ブレハッチ


2009年2月22日(日) 14:00 ザ・シンフォニーホール


プログラム:
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第16番
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第2番

〜休憩〜

ショパン:4つのマズルカ(op.17)
       :ポロネーズ 第6番「英雄」(Op.53)
シマノフスキ:ピアノの変奏曲(op.3)

≪アンコール≫
ショパン前奏曲より第4番
       :マズルカ(op.56-2)
ドビュッシー:ベルガマスク組曲より「月の光」


http://www.asahi.co.jp/symphony/symphony2009/c20090222.jpg
(↑画像はシンフォニーホールのHPより)


私がラファウ・ブレハッチの演奏に接するのは3回目で、リサイタルなどは2006年以来なのだが、聴くたびに大きくなっていくというのが印象だ。ショパンコンクールの覇者なので、成長していくなんて表現するのも失礼な話かもしれないが、無垢で衒いのない、上質なタッチが消えずに残ったまま、スケールを増していく。線の細さはなくなった。いまでも派手なパフォーマンスなどは一切ないのだが、スタイルの胆になるようなもの、自分の演奏の中心にあるものを大事に磨き続けてきた研鑽の様子が窺えるようで嬉しい。


モーツァルトでは第2楽章がたいへん美しく、起きていながら夢を見るようだった。弱音の美しさは例えようがない。どうしたらこんな音が出せるのかと思った。会場からも、この音を聴きもらすまいと、一切の物音が消えた。


ベートーヴェンでは、古典派らしいかっちりとしたところを見せる。全体的にはシンプルながらも、ところどころで骨太で力強強い表現も見せた。


後半はポーランドプログラムで、マズルカの4曲目が特に素晴らしかった。情念の塊のような、ショパンの音楽。ショパンの魂。青年期のショパンの逡巡を追体験させてくれた。


英雄ポロネーズは、数々の有名ピアニストが率先してパフォーマンスを見せる名曲なのに、ブレハッチは弾きすぎず、節度ある、本場の伝統的な響きを教えてくれた。堪能した。


シマノフスキの変奏曲は、同じポーランドの先達、ショパンの影響を感じさせる詩的な名曲ぞろい。ポーランド人のブレハッチにとっても大事なプログラムで、ここぞという集中力と抜群の切れ味を見せた。シマノフスキのファンが急増するような熱演だった。


アンコールでは、3曲目の「月の光」が光っていた。最後にこの曲とは。会場の空気が変わった。


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