ピアノ組曲版『展覧会の絵』の名盤
『展覧会の絵』は、友人の画家の遺作展を訪れたムソルグスキーが、10枚の絵からインスピレーションを受けて、10曲の音楽を書いたというのが作曲の経緯で、各曲には次のようなタイトルが付けられている。
「小人(グノーム)」、「古城」、「チュイルリーの庭」、「ビドロ」、「卵の殻をつけた雛鳥の踊り」、「サムエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」、「リモージュの市場」、「カタコンブ−ローマ時代の墓−死者たちとともに死者の言葉で」、「鶏の足の上に建つ小屋−バーバ・ヤーガ」、「キエフの大門」の全10曲。
曲間は、様々に変奏する「プロムナード」という短い曲で結ばれている。
ラヴェルによって編曲されたオーケストラ版がポピュラーだが、オリジナルのピアノ組曲版もピアニストのリサイタルでは結構プログラムに挙がっている。優れたピアニストによる『展覧会の絵』はとても楽しみなプログラムだと思う。
私は洗練されたオーケストラ版も嫌いではないが、どちらかと言えば、ロシアの香りを強く感じさせる、ピアノ版のほうが好きだ。
■エフゲニー・キーシン
- アーティスト: キーシン(エフゲニー),ムソルグスキー,バッハ,グリンカ
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2002/02/20
- メディア: CD
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現代的で、洗練された演奏。シンフォニックな名演。瞬間的な閃き。安定したテクニック。冴えるタッチ。「リサイタルに行ったら演奏が素晴らしくて満足して家に帰る」気分が味わえる名演。
- アーティスト: ポゴレリチ(イーヴォ),ムソルグスキー,ラヴェル
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2006/01/13
- メディア: CD
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立体的な造形。テンポや音の強弱が非常に個性的。しかし暴力的な力強さと陶酔的な甘さが同居する怪演。
■上原彩子
2002年のチャイコフスキー国際コンクールの覇者。世界的なピアニストであることを証明する一枚。多彩かつ繊細な表現力が溢れている。決して派手ではないが丁寧に磨きあげたような演奏なので、じっくり聴くにはとても良い。カップリングはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番なので、そちらも楽しめる(というよりそっちがメイン)。
- アーティスト: ムソルグスキー,アバド(クラウディオ),ラヴェル,ウゴルスキ(アナトール),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2007/09/05
- メディア: CD
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スタンダードな名盤。中でも、流れるような「ビドロ」、「チュイルリー」が良い。併録はアバド&ベルリン・フィルによるオーケストラ版なので、2度楽しめる。
『展覧会の絵』を聴くたびに私がいろいろ想像するのは、「10枚の絵は果たしてどんな絵だったのか」ということだ。
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