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アバド&ベルリン・フィルのブラームス1


アバドの音楽作りの特徴は、「清々しさ」だと思う。あるいは別の言葉では、「爽やかさ」、「颯爽とした」と言い換えられるかもしれない。70歳を超えたおじいさんにそんな表現は失礼かもしれないが、ますますそう思う。


いくつになっても大家ぶらずに、「書生っぽさ」がある点も素晴らしいと思う。


過去のベルリン・フィルの首席指揮者は、フルトヴェングラーがカリスマ(神)、カラヤンは帝王。その後に続くのは、極めて人間的で、バランス感覚に優れたリーダーだった。


アバドムーティの全盛期は、ピリオド楽器演奏のブームに隠れてしまったが、どちらも相対化してみることができる現在は、彼らを正確に評価することが出来るのではないだろうか。


緻密さと旋律を歌う美しさ、作曲家の魂を再現するような芯のある音楽作り。ベームバーンスタインカラヤンたち巨匠がまだ生きていた頃でも、アバドは際立って優れた指揮者だったと思う。


ブラームス:交響曲第1番

ブラームス:交響曲第1番


このCDは、アバドベルリンフィルの首席指揮者に就任した直後の録音だ。


帝王カラヤンの後。カラヤンが得意にしたドイツプログラム。ベルリンにおける外国人。相当なプレッシャーの中、ドイツプログラムの中枢のようなブラームスに対し、正面から取り組んだ。


カラヤンの頃のゴージャスな演奏は影を潜めた。しかし、巨匠の下で抑圧されていた(!?)人間性が存分に発揮され、旋律はとても美しく、テンポもやや速く、若さ溢れるブラームスとなっている。分厚く豪華な響きのかわりに手に入れたものは、音色の多彩さ、旋律の美しさ、指揮者とオーケストラが一緒に音楽をつくっていくようなポジティブで爽やかな歩みだった。


無理がなく、素直な、青年期のブラームスだ。


必要以上に気負わず、真摯に研究を重ねて、自分が理想とする音楽を表現する。必要以上に大きく見せない。風呂敷を大きく広げない。このスタイルは現在も変わらない。書生らしさを感じるのはそんなところにもある。


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