パーヴォ・ヤルヴィ×仲道郁代の「皇帝」&3番
最近、ベートーヴェンの「皇帝」は、このCDでよく聴いている。人気ピアニストの仲道郁代さんが弾いている。
指揮は大阪国際フェスティバルでの快演が記憶に新しい、パーヴォ・ヤルヴィ。ただしこのCDでは、hr響(フランクフルト放送響)でなくもうひとつの手兵のオーケストラ、ドイツ・カンマーフィル・ブレーメン。
hr響との演奏ではメリハリのきいた音楽作りが特徴的だったが、こちらもそれに負けずに室内楽的な明晰さが際立つ(このCDは録音状態も素晴らしい)。巨大さや重厚さはないが、整理が行き届いていて小気味がよく、オーケストラパートがとても面白いと思える演奏となっている。
仲道郁代さんのピアノは、慎ましく、静かな部屋で読書をするような、あるいは、落ち着いた思索に入り込むような感じ。音色は上品できわめて美しく、テクニックは細やか。テンポはこれ以上ないくらいの絶妙さ。まるで日本人の美徳のような演奏だ。弾きすぎず、オーケストラと調和して一緒に音楽を作っていく。それでは軽いピアノなのかと言えば、ぜんぜん軽くなく、まぎれもなくベートーヴェンのディープで華麗で強烈な音楽をやっている。
先日のエレーヌ・グリモーのピアノはスケールが大きくて内容的にも素晴らしかったが、パーヴォ・ヤルヴィの緻密で用意周到な音楽作りには、仲道郁代さんのピアノの方が合っているように思える。
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