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菊池洋子×井上道義×OEKによるモーツァルト


菊池洋子さんが弾くモーツァルトのCDを聴いている。オーケストラは井上道義さんが振るオーケストラアンサンブル金沢(OEK)。


モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番


モーツァルトは楽譜の書き直しがほとんどなかったという逸話もあるくらい、音楽が頭の中で完成されていた。試行錯誤がなく、完成形で音楽が出てきた。このあたりのエピソードについては、映画『アマデウス』でも、モーツァルトの、書き直しのない、美しい楽譜を見たサリエリが驚愕し、自分との才能の違いに愕然するシーンが描かれていた。


出てくる音楽はどれも、均整がとれていて美しく、シンプルだった。だから、飾りすぎたり華美に塗り固めると、モーツァルトらしさを損なうことになる。モーツァルトの音楽は、「季語」と「5・7・5」で形式が決まっている俳句のようでもあると思う。


さて、このCDは次の曲が収録されている。

ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
きらきら星変奏曲(フランスの歌「ああ、ママに言うわ」による12の変奏曲)ハ長調 K.265
ピアノ・ソナタ第9番(旧8番)イ短調 K.310


2つの名作を「きらきら星変奏曲」が挟むという構成になっている。


モーツァルトは27曲あるピアノ協奏曲では短調の曲を2曲しか書かなかった(20番と24番)。そのうちのひとつ、このCDにも収録されている20番はモーツァルトの作品全体の中でも交響曲第40番と並んで最もポピュラーな曲。


迷いのない一瞬の美しさが存分に出ている。生の感性をぶつけるような力強い演奏。こういう演奏は若いピアニストでないと出来ないと思う。


オーケストラアンサンブル金沢室内楽的な特質(親密さ、精密さ、音色の美しさ)もよく生きている。指揮者も只者ではない。昨年、「全身全霊で」現代的なショスタコーヴィチ交響曲チクルスをやった人が「私を消し」、古典的なモーツァルトになりきっている。


ピアノ・ソナタ第9番(旧8番)イ短調 K.310。モーツァルトピアノソナタでも短調の曲を2曲しか残さなかった(K.310とK.457)。そのうちのひとつ。これは箱庭的に完成された世界で、全体を覆うムードには陰りがあって底辺に美しさがある。


菊池洋子さんのピアノは、モーツァルトらしくシンプルで、美しく調和した音楽を聴かせてくれる。飾り気のない音色。スケールが大きく温かいピアノだと思う。


このCD、かなりの名演だと思う。


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