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ヤンソンス&コンセルトヘボウのショスタコ7


マリス・ヤンソンスロイヤル・コンセルトヘボウ・オーケストラ(RCO、以下コンセルトヘボウ)を振ったショスタコーヴィチの7番を時々聴いている。


Symphony No 7 (Hybr)

Symphony No 7 (Hybr)


最近、通勤時間が長くなったのに加え、地下鉄に乗らなくなり騒音が少なくなって、それほどボリュームを上げなくても音が聞こえやすくなったので、常にiPodを携えてクラシックを満喫しながら通勤している。


その時その時の気分によって聴く音楽は変わり、心身疲労困憊した時にはモーツァルトを聴きたくなり、焦りがあるときにはなんとなくバッハが合う。年末に第九を聴きたくなるのも心理だし、真夏にブラームスシベリウスは似合わないような気がする。


聴く音楽の選択は、気候、天候、あるいは気分によるところが多い。


ショスタコーヴィチの多くの交響曲は、晦渋なところや難解なところ、ギスギスしたところなどがある反面、古典的な調和の中に音楽が収まっているという、複雑な旨みを持っていて、聴いた後には、この作曲家の交響曲でなかったら得られないような独特の満足感がある。


あまり共感が得られないかもしれないが、7番や8番などの悲劇的な交響曲は、満員電車に揺られるときなど、殺伐とした気持ちの時になぜかぴったりと気持ちにフィットする。


◇  ◇  ◇


マリス・ヤンソンスという指揮者は多彩なレパートリーを誇り、ベートーヴェンだってブラームスだってマーラーだって、かなり高いレベルでこなす非常に器用な指揮者だが、もっとも相性が良いのはシャスタコーヴィチではないかと私は勝手に思っている。


ヤンソンスによるショスタコーヴィチというと、5番はウィーンフィルと、8番はピッツバーグ響とというふうに、曲ごとにオーケストラを変えて、十数年がかりで完成させた交響曲全集が評判になった。


全集の中の、レニングラードフィルとの7番はこれまた凄まじい熱演だったが、本盤、2006年録音の、コンセルトヘボウとのコンビでの演奏はまた違った良さを持っている。全集を完成させて肩の荷が下りたのか、より客観的に、空中から戦場を俯瞰するようなスタンスで、7番のテーマである「戦争の悲劇」が語られている。


触れれば火傷するようなバチバチ火花が散るような部分はなくなって、大らかでスケールが大きくて、日常的にはこちらの方が親しめるのではないだろうか。さらに、録音の質もすばらしくて、現在のコンセルトヘボウの音の良さを満喫できる。弦はうっとりするくらいに豊潤な音色で、しっかり揃っている。管楽器も抜群に巧い。金管も打楽器も決して騒がずに、節度のある熱演を見せる。


ヤンソンスの円熟した音楽作りとコンセルトヘボウの余裕が感じられる一枚である。


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