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コバケン×大フィル「炎のタクト!英雄交響曲」


昨日は午後から大フィルのコンサートに行ってきた。プログラムは「炎のコバケン」こと小林研一郎(以下コバケン)さんが振る「英雄」に加え、ヴァイオリニストの吉田恭子さんによるメンデルスゾーンということで、以前から楽しみにしていた。

ザ・シンフォニー特選コンサートVol.12
小林研一郎 炎のタクト!英雄交響曲


2009年1月31日(土) 15:00
ザ・シンフォニーホール


指揮:小林研一郎
ヴァイオリン:吉田恭子
管弦楽大阪フィルハーモニー交響楽団

プログラム:
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
ベートーヴェン交響曲 第3番「英雄」


http://www.asahi.co.jp/symphony/symphony2009/c20090131.jpg
(↑画像はシンフォニーホールのHPより)


メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、改めて、ヴァイオリニストのための曲だということを感じた。大フィルの協奏曲での伴奏は器用ではないし、弦の物々しさがかえって足を引っ張ることにもなり、昨日の演奏でも協奏曲の演奏としては完成されたものとは思えなかったが、ソリストがよかった。吉田恭子さんのヴァイオリンは、奇をてらったところがなく、表情のつけかたはそれほど濃くはなくて、音色もあっさり系なのだが、それがよかった。真摯で生真面目な演奏で、好感が持てた。


ベートーヴェンの「英雄」は、とんでもない熱演で、かつ個性的な演奏(怪演?といっても良い)だった。「英雄」の「変わった」演奏としては、ミハイル・プレトニョフとロシア・ナショナル管による交響曲全集野の中に超個性的な演奏が収録されているが、それに近かった。実演でこれだけ個性的な「英雄」を聴いたのは初めてだ。


テンポ設定は楽章ごとにめまぐるしく変わり、第1楽章はやや「遅」、第2楽章は「激遅」、第3楽章は「早い」、第4楽章は「やや遅」だった。とくに、2楽章は止まってしまいそうなほどのスローテンポで、かなり濃密でこってりとした表現だった。集中度も素晴らしく、全体のこだわりでは一番だった箇所だと思う。私はちょっとなじめなかったが、この楽章は葬送行進曲なので、こんなアプローチもあるかもしれない。


オーケストラの配置は、左に第一ヴァイオリン、右にヴィオラという通常の配置で、大フィルのベートーヴェンは変わったことをやらずに、普通のスタイルでやるのが一番合っているのかもと思った。弦の音色はコンマスが違ってたためにいつもと違って、華やかな一本の弦が全体を引っ張っているという印象ではなくて、悪く言えば洗練されておらず、それでも全体の印象は適度に揃い適度に荒れて、重みがあって、悪くはなかった。とても力強かった。管楽器のソロも全て良かった。第1楽章ではホルンが不安定でオイオイと思ったのだが、第2楽章からは見違えて素晴らしくなって、第3楽章も生き生きとした、自信に満ちた演奏だった。金管も打楽器も立派だった。昨日は全体的に楽器が非常によく鳴っていたし、ホールをうまく響かせていた。


フィナーレはコバケン流の勝利の雄たけびで、完全燃焼という感じだった。正直言って、私は第2楽章をはじめとした解釈?テンポに違和感を持ったのだが、最後はベートーヴェンの「英雄」の持つ崇高な魂に心を打たれた。感動した。


指揮はすべて暗譜で、指揮台の上で跳ねる、地団太を踏む、天を指す、唸る、コバケン節全開の「英雄」で、終演後の会場はブラボーの嵐と、興奮の渦に巻き込まれた。


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