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パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル・ブレーメンの第九


前回のブログが10月20日だったので、丸2ヶ月も放置…訂正、更新していなかったことになる。


いつのまにか師走になり、この冬一番の冷え込みを記録するなど、雪が舞い、第九の季節になっている。


こんなに更新が滞っているにもかかわらず、毎日100件200件ものアクセスがコンスタントにあって(「クラシック」、「名曲」などのキーワードでのアクセスが多い)、ありがたい限りである。


自分の知らないところでブログが勝手に歩き出し、知らない誰かに少しは影響を与えているかもしれないわけなので、ネット上での気づきの連鎖のためにもっと貢献していかないといけないと思う今日この頃だ。


6月に子供ができたのと、転職してから仕事がバカみたいに忙しい時期があって、(ワーカホリック=アホのように忙しい)、クラシック音楽との付き合い方もガラッと変わった。


いままでは大フィルの定期会員になって月に一度は定期演奏会に足を運び、時々は奮発して海外オケの来日公演にも顔を出す。そんな生活は一変し、クラシック音楽との付き合いは、録音と活字ばかりになった。なかなかブログに書くことができなかったが、新しい録音の中にもなかなか良い演奏もあったし、読み応えのある書籍もあった。いつか紹介したいと思う。


今夜はベートーヴェン交響曲第9番「合唱」(以下、第九)のCDについて。


◇  ◇  ◇


このCDは、パーヴォ・ヤルヴィがドイツ・カンマーフィルハーモニーブレーメンを振った録音で、この第九をもって、このコンビによるベートーヴェン交響曲の全曲録音が完了したことになる。


ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」


パーヴォ・ヤルヴィという指揮者を見ていると、現代の指揮者に必要とされる要素を高いレベルで備えた、現代を象徴するような指揮者だと思うことがよくある。


高いレベルの音楽教育を受けていることは前提で、その上で数少ないチャンスをものにして、世に出た後は、世界中を飛び回り、いくつものオーケストラを振り、研究熱心で奏法の流行り廃りにも敏感で、指揮の技術はまず問題がなく、人間的にも癖がない(このあたりは推測)。それはつまり、技術、才能、器用さ、カリスマ、経営手腕がバランスよく備わっていて、要するにビジネスマンとしても活躍できるような指揮者ということだ。同じように現代的な器用な指揮者という点で言うと、演奏スタイルは違うが、マリス・ヤンソンスを思い出す。


hr交響楽団(首席指揮者)、ドイツ・カンマーフィルハーモニーブレーメン(芸術監督)、シンシナティ交響楽団音楽監督)という、3つの有力オーケストラを統率し、それぞれで見せる違った展開が興味深くて、目が離せない。


私が実演に接したのは一回のみだが、なんと軽快で明快な棒だろうと感心したものだった。この指揮についていけば誰も聴いたことがないような新しい演奏ができる。そう信じさせるような、知的にコントロールされた動きだった。


と、前置きが非常に長くなったが、この第九も想像通り、インテリジェンスを感じさせる名演になっている。


基本的な路線は、モダン楽器を使用したピリオド奏法だが、パーヴォ・ヤルヴィがやるとここまで差が出るかという感じだ。サイモン・ラトルウィーン・フィルを振ったベートーヴェン交響曲全集があったが、聴いた後の印象としてはあれに近い。確信に満ちた解釈と、批判を恐れない、挑戦する姿勢が共通する。あれほど緊張感はないが、完成度ではヤルヴィの録音が勝る。


例えば終楽章での第二ヴァイオリンの動きがすごい。第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンが同じくらいの音量で、楽譜にこめられたものにこれほど立体的に迫った演奏をあまり知らない。


全体的にはスマート&スピーディな演奏でありながら、細部の造型は繊細で、陰影に富み、こういう演奏にありがちな雑さがないというところだろうか。


独唱も実力派が揃っている。そして合唱も聴きごたえがある。規模が小さいのか迫力は薄いが、おもしろい。発見の連続である。


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