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アランフェス協奏曲の名盤


この曲を初めて聴いたのは、ユアン・マクレガー出演の映画『ブラス!』で、よそ者の新入りと見られていた女性がフリューゲルホルンでこの曲の感動的なソロを吹き、メンバー入りを認められるという名場面だった。クラシック音楽とは思えない、わかりやすい哀愁をたたえた名旋律で、一度聴いただけで、涙が流れてきそうなほどの切ない曲だった。


それが20世紀のスペインの作曲家ロドリーゴによるアランフェス協奏曲の第2楽章のアダージョだった。もともとはギターと管弦楽のために書かれた曲だということはそのあとに調べてわかったことだった。


アランフェスは、マドリード近郊の、王宮がある古都として知られている。アランフェス協奏曲は、ロドリーゴが、スペイン内戦の最中に留学先の異国で、祖国へ思いを馳せ、平和を祈りながら書いた曲だと言われている。


余談だが、ロドリーゴはギターの名曲のイメージが強いので、私はギター曲を中心とする作曲家だと思っていたが、先日読んだ本にロドリーゴはピアニストであり、第一の楽器はピアノだったということが書かれていた。それからロドリーゴピアノ曲を聴いたりしてみたら、イメージ通り、スペインの哀愁漂う名曲が多かった。それについてもいつか書いてみたいと思う。


そんなロドリーゴによる名曲、アランフェス協奏曲の名盤はこちら。


ジョン・ウィリアムズ×フレモー×フィル・ハーモニア管

ロドリーゴ : アランフェス協奏曲 他

ロドリーゴ : アランフェス協奏曲 他

スケールの大きい、巨匠風の演奏。ジョン・ウィリアムズはアランフェス協奏曲を3回録音していて、その3回目の録音がこれだ。現代クラシック・ギターにおける第一人者による最高の演奏。ギターもオーケストラも洗練されている。本当にうまいというのは、難しい曲を難しそうに演奏することではなくて、難しい曲をいかにも簡単そうにさらりと演奏することだと知る。テクニシャンというのはこういうことを言うのかという感じで、口をポカーンと開けて感心するばかり。


■ナルシソ・イェペス×ナバロ×フィルハーモニア管

ロドリーゴ:アランフェス協奏曲

ロドリーゴ:アランフェス協奏曲

抒情的な演奏。演奏スタイルは大風呂敷を広げるような部分の一切ない、素朴で丁寧な仕事ぶり。イェペスといえば10弦ギターでこの曲も10弦ギターによって演奏されている。一聴すると地味で味気ない印象も受けるのだが、聴いていくうちに、ひとつひとつの音が均等で、細部にこだわりぬいた、実はとんでもなくレベルの高い演奏だと知る。


■村治香織×山下一史×新日本フィル

アランフェス協奏曲

アランフェス協奏曲

現在の日本におけるクラシックギターの第一人者によるこの演奏は「真摯」である。村治さんは一昔前マスメディア的に一気に人気が出て、その当時の録音であるが、この演奏を聴く限り、テレビ的な意味での一般的な人気とは関係なく、優秀な演奏家であることが分かる。人気曲に正面からぶつかった生真面目な演奏。こういう演奏は若い時にしかできないという演奏をしている。


■村治香織×ビクトル・パブロ・ペレス×ガリシア交響楽団

Viva!Rodrigo

Viva!Rodrigo

旧録音との違いは「余裕」だ。演奏家としてずいぶんスケールが大きくなった。全体を通してゆったりとしたテンポで、哀切を歌いあげる。新しいCDなので音質も文句のつけようがないくらい素晴らしい。


マイルス・デイヴィス『スケッチズ・オブ・スペイン』

スケッチ・オブ・スペイン+3

スケッチ・オブ・スペイン+3

番外編。アランフェス協奏曲のジャズ・エディション。ジャズ・トランペット奏者のマイルス・デイヴィスと、作曲・編曲家のギル・エバンスという、やり手2人の製作によるアルバム『スケッチズ・オブ・スペイン』に、アランフェス協奏曲が収録されている。私はクラシック音楽を聴く前は、ジャズ野郎だったので、これは聴いた。というマイルスのトランペットの緊張感のある音色が曲によく合っている。


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