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丹波焼の里を訪ねる


丹波焼の里を訪ねる』なんてBSデジタルで休日の昼に放送していそうなタイトルである。先日、平日の休みに日帰りで、丹波兵庫県篠山市)にやきものを見に行ってきた。


私は、過去に岡山県に出張していた時に、伊部の駅に向かう途中の備前焼の窯元で、いまでも愛用している焼酎グラスを購入して以来、やきものには高い関心を持っている(語り口の柔らかい陶芸家で、素人の私に対しとても丁寧に説明してくれたのを覚えている)。こういうものは大量生産の製品と違って、かなり高価なものもあるが、飽きずに愛着を持って、大事に使用するので、結果的には長く使えることが多い。


関西から日帰り散策の可能なやきものの産地は結構あって、それらを見に行くことも私の余暇のひとつの過ごし方となっている。(⇒【過去のブログ『信楽焼の里を訪ねる』はこちら】


丹波焼は日本の六古窯のひとつで、古来からやきものの産地として知られてきた。現在、多くの窯元が、舞鶴自動車道の三田西インターを降りて、20分ほど北上した、「立杭」という地域に集中している。



ベートーヴェン交響曲第6番『田園』が似合いそうな、牧歌的な田園風景。草の匂いがする。加えて、季節や日によっては、陶器を焼く煙が立ち上るらしい。


■立杭陶の郷



『立杭陶の郷』(⇒ホームページはこちら)は、丹波焼を鑑賞したり購入したり陶芸体験ができる文化施設である。また、バンガローなどの宿泊施設や、自然食のレストランもあるので、さまざまなニーズに合った利用法がある。現代作家展なども行っている。


そんななかでも中心は、地域の窯元の展示即売スペースで、気に入ったものがあれば購入をすることができる。「気に入ったタイプのものがあったら、ぜひ窯元に行ってみてください」という、統一された案内が行なわれ、地域の窯元マップをもらえる。


こちらの展示は、観光地にありがちな雑さがなくて、センスがとてもよい。ギャラリーと言っても十分成立するレベルの高さだ。鑑賞だけでも十分に楽しめるが、購入までできて、満足度は高い。


丹波で蕎麦を食べる〜篠山の蕎麦の名店『一眞坊』


まわりにはおよそ商店などひとつもない田園の中にある。そして近くには目印も何もない。地図上は、一本残ってしまった髭のような細い道の表示である。まず、国道372号線を古市の方面に向かって東に走り、踏切のひとつ手前を左折する。細い農道を北上し、こんなところに蕎麦屋があるんだろうかという不安になるくらいの時間走ったら、店に着く。簡単に案内するとこんな感じである。蕎麦屋がありそうな雰囲気は五分五分で、本当に心細くなってきた頃に店を発見し、これは嘘だと思ったほどである。



見たところ田舎の民家である。中に入ると本格的な、囲炉裏を備えた民家である。そこでそばを食べる。蕎麦マニアが一番喜ぶようなシチュエーションで食べる蕎麦である。



最初に、お茶の代わりに、熱い蕎麦湯が供される。本格的。期待が高まる。それほど待たされない。美しい蕎麦だ。蕎麦のタイプは、のどごしを重視した裁ち切り蕎麦。プチン、プチンとはじけるコシがあって、蕎麦の風味も豊か。ダシはやや甘みが勝つ。私は好みだ。これで850円は良心的だと思う。あとは、メニューに鴨ロース、予約制で鴨鍋などもあった。相当レベルの高い蕎麦屋だった。ミシュランのグルメガイドのような表現を借りるなら、「遠回りしても訪れる価値のある店」だ。


兵庫県陶芸美術館



兵庫県陶芸美術館(⇒ホームページはこちら)。はじめて行った。田舎と言っては失礼だが、こんな山の中にこれほどセンスがよくて近代的な施設があるとは驚いた。マイセンの特別展が開催されていて、これはかなり見ごたえがあった。あとは2011年の神戸ビエンナーレの陶器部門のためのプレ展示もあった。造られたばかりの、しかも現代の第一線級の陶芸家による作品の存在感は圧倒的だ。売られているものとは別次元のものだ。風圧を感じる。行ってみて、丹波を訪れるなら絶対に外せない美術館だと思った。



併設のレストランの展望テラス。オーガニックフードのランチバイキングなどもある。使われる野菜は地元で採れた新鮮なものだ。野菜の地産地消に一役買っている。私は食べなかったが、体に優しそうだった。


■皿を選ぶ


今回の旅では買いたいものがあった。私は寿司などを食べる時の小さな皿を買いたいと思っていた。以前、信楽で、刺身を食べる時に使う醤油を入れる豆皿を買ったのだが(それを寿司にも使えると思って買ったのだが)、寿司だとはみ出してしまっていた。それよりは少し大きい、寿司にとってちょうど適切な皿というと他には持っていなかった。尤も、そんなに寿司を食べる機会などないし、せいぜいテイクアウトの寿司なのだが、今持っていなくて、新しいものをせっかく買うのであれば、飽きずに長く使えるものがいいと思っていた。それで、今回いろいろ探した結果、ちょうどいい大きさのものを発見した。意外に種類があまりなかった。このサイズの円形の皿は意外とないということがわかった。



いくつか見た他のものでは、ツバメの絵があったり、定番のエビの絵が描かれたものもあったが、私は土っぽいものに惹かれた。もっと洗練されていてデザインが凝ったものを選ぶのであれば、デパートの陶器売り場で買えばいいし、丹波焼である必要はない。せっかく丹波まで来たので、丹波らしい雰囲気が出ているものにしたかった。


どれにするか本当に迷ってしまい、家に帰るのは遅くなってしまった。肉体的には疲労感を覚えたが、趣味にたっぷり時間を使うことができたので、気持ちの充電をすることができた。やきものの里は、関西近辺にはまだまだあるので、時間を見つけて、今後も訪問を続けていきたい。


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