USHINABE SQUARE

クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味

伊豆でゆっくりする


ゴールデンウィークも終わろうとしている。私の場合は2連休の後、2日仕事に行って、そのあと3連休というたいしたゴールデンウィークではなかったが、それでも体はすっかり休みモードで、明日目覚まし時計に起こされて仕事に行くのを「喜んで!」と積極的に答える気分には全然ならない。あと1か月くらい休みが続いたとしても全然困らない。同じようにブルーな気持ちの人が世の中にたくさんいることが救いである。


連休の後半を使って、子供を連れて伊豆に家族旅行してきた。当初は実家に泊まる予定で帰省するはずだったのだが、両親が伊豆に宿を予約していてくれたので一緒に泊まることもできた。そういえば去年も同じ宿に泊まった。


新幹線で三島に着き、ホテルのチェックインまで時間があるので修善寺の『虹の郷』に寄ってきた。地方にある、こういう類のテーマパークは失望するのが常だが、『虹の郷』は「がんばっている」と思った。蒸気で走るミニ機関車があったり、小川が流れていたり、芝生があったりして、子供は大喜びだった。



イギリス風の洋館と庭園。こういう展示は、本物と比べてしまってがっかりするのが常だが、「がんばっている」と思った。よく整備されている。



風景はエリアごとにカナダ風だったり、イギリス風だったり、写真だけを見ると日本でないみたいだ。園内はそれなりに広く、蒸気機関車で移動するのだが、行きと帰りでそれぞれ400円ずつかかるのが誤算だった。でも遊園地の機関車よりもずいぶん本格的だ。



これがその蒸気機関車。子供は大喜びだった。ゆっくりと走る蒸気機関車に対し、自然と手を振る。みんな知らない人同士なのに、手を振りあう。子供に手を振るように促すと、外の見ず知らずの女の子が手を振りかえしてくれる。その両親も手を振る。私も手を振る。温かい気持ちになる。こういうテーマパークではみんな自然と笑顔になる。そして列や席の順番などの争いも少ないはずだ。


◇  ◇  ◇


宿泊先は伊豆長岡温泉の『ホテル天坊』(→ホームページはこちら)。


最近、旅行に行くと、名所に行くよりも、一つの場所でゆっくりして、家族で過ごしたり、本を読んだり、温泉に入ったりして、時間を消費することが好きになってきた。観光地や名所に行かなくても満足するようになってきたのだ。刺激がそれほど欲しくなくなってきたからなのか、年を取ったのか、それほど面白いところに行っていないだけなのかわからないが、そんなところに価値を置くようになってきた。


その点でいうと、このホテルは満点だ。滞在する上でのストレスが全然ない。サービスの質は高いし、接客もきちんとしているし、料理はおいしいしで、今回も感心した。たとえば、宿泊者にはラウンジでのドリンク無料券がついてくるのだが、食事寝具不要としていて料金には含まれていない子供の分も(こちらから言わなくても)普通にサービスしてくれる。融通の利かないチェーンのホテルなどでは「お子様は別料金ですが」などと先に言われかねない。サービス業の精神で考えてみると当たり前のことだし、高級ホテルでは当然のサービスだろうが、このホテルはそんなに高価ではないのにである。そんな当たり前のことは普通にできている。静かな環境で読書ができ、比較的少なめに抑えられた客室数のせいで、温泉も混まない。


食事は子供が小さいので部屋食が良いと思っていたのだが、今回、やっぱり温かいものを温かいうちに食べるには、レストランでの食事が一番だとわかった。これまで公共の場所で子供が走り回るのに苦労していたのだが、食事のときに初めておもちゃを出すとそれに夢中になってしばらくおとなしいことがわかった(しかし翌朝そのおもちゃに慣れてしまって一向に食事に集中しない息子を見たのであった)。



前菜、お造り、小なべが最初から用意され、その後、休憩?として鯵の茶そばが運ばれてくる。小なべはチーズフォンデュ風で工夫されていて、これはかなりおいしかった。そして最初のメインが、伊勢エビの焼き物。贅沢。



そして選べるメイン。金目鯛か牛フィレかアワビの3種から選べる。私はアワビを選んだ。何かの本でアワビは「ナンバーワンの食材。世の中でいちばんおいしいもの」という記載を見たことがあって(何の本だったか覚えていない。寿司の食材の本だったか)、私はアワビに対してそういう目で見ていたのだが、実際は本当においしいアワビに出会ったことがなかった。新鮮だからよいというものではなく、淡泊だったり、身が固かったりして、理想のアワビにはそれほど出会ったことがなかった。このアワビは違った。まるでモーツァルトのヴァイオリンソナタのように柔らかい。柔らかいのに噛みしめる度に適度な弾力とともに訪れる旨みがあって、驚きの食体験だった。どうやったらこんな口当たりの良い状態に仕上がるのだろう。



最後のシメはシジミの味噌汁と、桜エビの炊き込みご飯。桜エビというのが駿河湾らしい。エビが入るだけで、普通の炊き込みご飯と全然違う。甘みがすごい。小さくても立派な味噌を持っているのか。



翌日は晴れて、部屋から富士山を望むことができた。遅めのチェックアウトまで、もう少しゆっくりできる。急ぐ用事はない。そんな時間の使い方って贅沢だ。


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