USHINABE SQUARE

クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味

月刊『ショパン』別冊「ショパン国際ピアノコンクールのライブ」


秋が深まってきて上着一枚では肌寒さを感じる頃になると、ショパンが聴きたくなる。


クラシック音楽を聴き始めてから、10年くらい経つと、好みがだいたい固まってくるが、私の場合は、ベートーヴェンブルックナーブラームスらが特に好んで聴いている作曲家となっている。そして、ショパンも彼らと並んで特別な存在だ。すごく好きな作曲家で、10年以上聴いている。ショパンの音楽は、焦燥に駆られたような詩的世界を見せる一方、音楽の構成は大変に理詰めで安定感があり、聴いていると不思議に気持ちが落ち着いてくる。



今回紹介するCDは、月刊『ショパン』の増刊号である『ショパン増刊第16回ショパン国際ピアノコンクール2011年01月号』の付録CDだ。もう2年近くも前に刊行されたものだが、私は最近購入した。この付録CDには、2010年のショパン国際ピアノコンクールの入賞者による演奏が収められている。長期間にわたるショパン・コンクールの演奏全体からするとほんの一部の演奏だが、たったこれだけでもピアニストの特徴がよくわかるし、どれも素晴らしい演奏なので、もはや付録というよりメイン。

Amazonによる紹介
第1位獲得は、ユリアンヌ・アヴディエヴァアルゲリッチ以来、45年ぶりの女性の優勝で幕を閉じた、第16回ショパン国際ピアノコンクール
ショパン生誕200周年の今回は、多くの審査員が「レベルが高い」というように、素晴しい個性的なピアニストが多く集まり、記念イヤーらしい、語り継がれるコンクールになりました。
しかし、その裏ではどのようなドラマが繰り広げられていたのでしょう。ショパンの国で世界の若いピアニストたちが展開した熱いステージ、彼らひとりひとりのコンクールに対する思い、審査員の方々の思い、そして、ショパンの祖国ワルシャワについて・・・。付録のCDには入賞者と人気のあったコンテスタントのライブ録音が入ります。約1ヶ月に渡るコンクールすべてに密着取材した月刊ショパンならではの内容で、あますところなくお伝えします。
ピアノに関わる方だけでなく、毎回多くの音楽ファンにご好評をいただいているショパンコンクール特別号。ショパン12月号と共に、完全保存版の一冊です。

≪付録・コンクールライブCD曲目リスト≫
1. 第1位 ユリアンナ・アヴデーエヴァ 幻想ポロネーズ変イ長調Op.61
2. 第2位 ルーカス・ゲニューシャス ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11〜第2楽章
3. 第2位 インゴルフ・ヴンダー ワルツ第2番変イ長調Op.34-1
4. 第3位 ダニイル・トリフォノフ ノクターン第17番ロ長調Op.62-1
5. 第4位 エフゲニ・ボジャノフ マズルカ風ロンド ヘ長調Op.5
6. 第5位 フランソワ・デュモン ピアノ・ソナタ第3番ロ短調Op.58〜第4楽章

登場するピアニストは、多士済々という趣で、圧倒的なテクニックがあったり、個性的な解釈があったり、空気を持っていたり、全然飽きない。


インゴルフ・ヴンダーはピアニストしてのポテンシャルがずば抜けている。優勝候補と言われたことも納得の演奏。たぶんこのスタイルならショパン以外も全然問題ない。おそらく相当長期間にわかって第一線で活躍するピアニストになっていくだろう。


ダニイル・トリフォノフは、変幻自在のタッチが凄い。あのピアニッシモは背筋がぞっとするほどの美しさ。当時19歳という若さというから恐れ入る。しかもこの後、チャイコフスキー国際コンクールで優勝している。


エフゲニ・ボジャノフは大変ユニークだ。権威あるショパン・コンクールでこれほど個性的なショパンの演奏に対し入賞を与えたというだけで、一番偉いのは審査員と言えるかもしれないが、本人は4位に不服で、表彰式も入賞者によるコンサートもキャンセルしたという骨太なエピソードを残している。


ユリアンナ・アブデーエワ*1は、固有の空気を持っている。コンクールのライブ映像を見た時も、なぜか聴いていて一番感動する演奏をしたのは彼女だった。抜群のテクニックと堂々としたステージマナーは既にベテランのピアニストのもので、確信に満ちた解釈から、時間を自在に扱い、観客の心を支配する。さすが優勝者だ。


以上、4名のピアニストについてだけ書いてみたが、他のピアニストも素晴らしい。コンクールの最中は、それぞれのファンが「自分のピアニストが一番だ」と激しくぶつかった。そんな記憶も思い出される。


人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 クラシックブログへにほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へにほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

*1:Yulianna Avdeevaは、ユリアンナ・アヴディエヴァユリアンナ・アヴデーエヴァなど様々な表記がされていますが、拙ブログではユリアンナ・アヴデーエワに統一しています