USHINABE SQUARE

クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味

『だい富』


『だい富』でうなぎを食べた話。


『だい富』は、地下鉄四つ橋線肥後橋駅を出てすぐのところにある。


開店前に着いてしまったので、しばらくそのあたりを歩いて時間をつぶそうとするにも、あいにくの雨だった。折り畳み傘を持ってきたので、使えばいいのだが、この雨が午後にでもやみそうだという予報が頭の片隅にあった。濡れた傘を持って歩くのが私は億劫だった。しかしその時点で雨は本降りだった。開店までまだ10分くらいある。私は覚悟を決めて傘を開く。


肥後橋はオフィス街で、私は昔こういう雰囲気のところで仕事をしていたこともあって、歩いていると街に体が馴染んでいくのを感じる。とはいえそんな気持ちとは裏腹に雨脚はますます強くなる。その雨の中、10分程度歩いて時間をつぶし、店の前に戻ると暖簾がかかっていた。私は折りたたみ傘を傘立てに立て、入店する。


開店直後ということもあり私が最初の客だった。2人掛けのカウンターの他、4人掛けが3つという、広くない店内だ。ランチタイムなどは相席もあるのかもしれない。しかし雰囲気は抜群で、いかにも老舗で小奇麗にされている。割烹風の店内。近所にこういう雰囲気の店があったら週に1回は行くことになるだろう。


私は中間グレードの「松」を注文した。価格は忘れたが3,000円強だったと思う。それとうざくをひとつ。昔はう巻き
をよく注文したが、最近はもっとあっさりしたものを好むようになって、うざくを注文している。以前はこの酸味が理解できなかったが、いまはくせになっている。


料理が出てくるのを待っているうちに、年配の女性の一人客、その後に、サラリーマン風の二人組がやってくる。この辺りの人たちだろうか。これでもう一組しか空席がなくなる。



そのうちに料理が出てくる。重箱とうなぎの取り合わせがとても美しいと思う。時々、「こんなに沢山のうなぎが乗ってる」ということを売りにするうなぎ屋があるが、そういうものはもういい。野暮だと思う。ご飯とのバランスが大事で、適度なのが一番潔い。


まぎれもなく大阪の老舗のうなぎ屋だが、江戸風の蒸しを特徴とする店だ。これは好みの問題だが、私は蒸しが入る方を好む。ほろほろと口の中で消滅するうなぎは、江戸前のうなぎならではのものだ。名店がひしめく大阪のうなぎ屋の中でもレベルが高いうなぎだった。


店を出ると雨は止んでいた。傘立てに立てかけてあった私の傘をとると、すでに乾いていたことが嬉しかった。私は傘を折り畳み、鞄に入れ、地下鉄に乗り、梅田に向かった。

【だい富 (だいとみ)】

住所:大阪府大阪市西区江戸堀1-10-34
営業時間:11:30〜14:00/17:00〜21:00(LO20:30)
定休日:日曜・祝日・第2第4第5土曜


人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 クラシックブログへにほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ