FUJIFILM『X-T1』を買う
1年前から欲しかったカメラ、富士フィルムの『X-T1』を買った。
FUJIFILM ミラーレス一眼 X-T1 レンズキット ブラック F X-T1B/1855KIT
- 出版社/メーカー: 富士フイルム
- 発売日: 2014/02/15
- メディア: Camera
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最初、カメラ雑誌で見た時の第一印象は良くなかった。ボディ中央部の出っ張りが、ペンタプリズムがないミラーレスカメラにしては必然性がないのに存在感があり過ぎた。『X-E1』、『X-E2』の方が随分と潔く、デザインとしては優れているように感じ、『X-T1』には迷いがあると勝手に決めつけた。
- 出版社/メーカー: コンタックス
- 発売日: 1994/04/01
- メディア: Camera
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しかし『T-X1』が、京セラによるコンタックスのフィルム一眼レフカメラ『RX』に似ているということが言われ出してから、急に気になる存在になった。確かに似ている。軍鑑部を上から見たところも、台形のペンタ部も、控えめに突き出たグリップもそっくりで、直線基調の造形はまるで良く似た兄弟のようだった。私はコンタックスのコンパクトカメラやレンジファインダーを使用したことがあったが、一眼レフカメラは使用したことがなく、憧れだった。中でも私は『RX』が特に気になっていた。しかし私が購入を検討し始めた頃、フィルムカメラ自体が風前の灯で、デジタルカメラに取って代わられようとしていた時期だった。程なく京セラはカメラ事業から撤退し、一眼レフのコンタックスというブランドが消滅した。結局私はニコンのDシリーズのユーザーとなり、コンタックスの一眼レフとは縁がなかった。
コンタックスと富士フィルムには何の関係もない。しかし私が憧れたコンタックスの生まれ変わりのようなデザインに痺れてしまった。写りは…?良いに違いない。完全に形から入った。購入に向かわせた原動力はこのカメラを持って歩きたいということだった。
その、新しいカメラを持って、何日か京都を歩いた。2月のはじめ。長楽寺から出発し産寧坂を歩いて清水寺の奥ノ院から舞台を眺める。境内で茶団子を食べた。別の日は泉涌寺の参道を歩き、今熊野観音寺などの洛東の古刹を巡った。3月。いつの間にか梅の季節になっていた。
2月のある日。長楽寺の石段。何度も行っている京都だが、まるでエアーポケットのような、一度も訪れていなかった空白地がある。長楽寺もそうだった。どうしていままで訪れることがなかったのか。祇園、建仁寺、八坂神社、高台寺、八坂の塔、この辺りは見どころがたくさんありすぎて足が向かなったのか。美しい庭園を持つ古刹である。境内は山の中腹にあり、京都の風景が一望できる。
真冬の清水寺。曇天で色がなく、枯れ木が荒んでいる。雪が降っていれば絵になるのだが、2月のこの風景は全く絵にならない。
境内には『舌切茶屋』、『忠僕茶屋』という二つの茶屋がある。私は『舌切茶屋』で茶団子を食べる。どうしてこんな一等地に茶店があるのかと思い、調べると、驚くべき事実を知った。この二つの茶店は、幕末の頃、非業の死を遂げた二人の志士の功績に報い、その子孫たちが困らないよう、清水寺よりその子孫たちに対しこの地での営業が許可されたという歴史を持っているらしい。
続いて、別の日には泉涌寺の界隈を歩いた。
泉涌寺の大門をくぐり、仏堂に向かうこの参道が私はとても好きで、私の好きな「京都のお寺の参道ベストスリー」に必ず入る。緩やかな下り坂となっているのが珍しくて、何度行っても、何度も行きたいと思う。
舎利殿。仏殿と隣り合うように建つ。
この庭も私が好きな庭園の一つ。奥には陵墓・月輪陵がある。
洛陽三十三観音の一つ、善能寺。侘びた風情が素晴らしい。
今熊野観音寺。西国三十三観音と洛陽三十三観音の札所。庭園や仏像があるわけではないので、今熊野観音寺は観光ではあまり行かないお寺だと思う。
慌ただしい2月が終わり、3月となる。
今週の始め。福勝寺。洛陽三十三観音の一つ。京都は普通に歩いているだけで、お寺に当たる。
立ち寄った京都御苑で梅の花が咲いていた。3月に入り見ごろを迎えていた。
京都御苑には昔、桜を見に行った記憶があるが、梅というイメージはなかった。しかし、しっかり梅林がある。
京都に着いたときには一時雨が降ったが、京都御苑では晴れた。しかし西の空は曇っていた。その後、再び雨模様となり、降ったり晴れたりの一日だった。
蘆山寺。冬の間はどこに行って写真を撮っても、色が薄く、写真を撮って家に帰って見てみるとがっかりすることが多かったのだが、いつの間にか春の訪れを感じる色になっている。
一日だけではよくわからなかったが、1か月以上使ってみて、『X-T1』がだんだんと自分に馴染んできた。このカメラを持って歩くことが自然になってきた。私は休みの日は家にいることがなくて、だいたいどこかに出掛けているが、そんな時、いつも持っていきたいカメラとなった。
このカメラは万能ではない。動き物は得意ではない。スポーツ撮影は厳しいだろう。また例えば風に揺れる花。それも苦しい。スナップ。建物。散歩。静物。歩いて時々撮影する。そんな用途にはぴったりだ。見かけに威圧感がない。なのに存在感がある。形から入って間違いでなかった。