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『WALKMAN(ウォークマン)』Aシリーズ『NW-A56HN』を買った

WALKMANウォークマン)』(以下、ウォークマン)、Aシリーズ『NW-A56HN』を買った。



iTunesで取捨選択してもプレイリストから中々落とせない曲が多く、いま持っている64GBのipod touchの容量では苦しくなってきた。しかしすぐには購入に至らずしばらく検討中で、128GBのiPod touchを基本に考えていたのだが、新しいタイプのものを使用したいという、好奇心が勝った。私はiPodではなく、ウォークマンを注文した。ウォークマンはカセットテープの時代から使用し、CDウォークマンやメモリータイプのウォークマンまで使用した経験があるが、最近は全然親しみがなく、私は断然iPodシリーズばかりで、古いminiから、classic、nano、touchに至るまで、アップル一択だった。

既に慣れ親しんだものから、あまり親しみのなかった類のものに替えるというのは、酔った勢いみたいな軽さや、決心や、新しいものへの好奇心が必要である。今私の手元には新しいウォークマンがある。私はオーディオマニアではないので専門的なレビューは出来ないが、しばらく使用してみた感想を書いてみたい。



◆◆音質◆◆

まず気に入った曲を入れて、聴いてみて、驚いた。「なんとスカスカな音」。圧縮音源のクオリティーを向上させる機能、「DSEE HX」と、低域をアナログアンプのように豊かにする「DCフェーズリニアライザー」をオンにすると多少まともになったが、音のボリュームがか細く、人工的で、とても長く聴き浸ることができるような音ではない。私は間違った選択をしてしまったのか。あるいはオーディオ製品に宿命のエージングが不足しているのだろうか。そこでイアホンを耳から外して、しばらく鳴らしてみることにした。新しく手に入れたウォークマンをすぐに楽しむことはできないが、ひょっとして音が変わるかもしれない。私は全曲リピートをかけてプレイリストを上から順番に二日ほどひたすら鳴らしてみた。

そして聴いてみた結果、音が劇的に変わっている。あのスカスカの音は何だったのだろうか。まずはベートーヴェンのオーケストラ作品で聴く。まるでホールで聴いているみたいに、残響も豊かで低い音から高い音まで実に幅広く鳴らす。今度はビル・エヴァンスの曲に変えてみる。ピアノの切れ味鋭いアタック、ジャズのベースの音もズンズン響く。臨場感たっぷりだ。全体的には、iPod touchに比べると解像度が高く、元気なサウンド作りとなっているように感じた。しかし古いiPod touchの音が悪いわけではない。

イメージ的に、音質では「iPod=悪」、「ウォークマン=良」みたいなイメージがないだろうか。しかしそれはイメージであり、本当の姿ではない。私は何年も使用したiPod touchの音質の素晴らしさを再評価することになった。低音から中音、高音まで満遍なく、変な癖もなく鳴らすことができるのがiPod touchの強みだ。ソースにもよるが、キャラクターとしては音の解像度はそれほど追い求めておらず、スタンダードなサウンド作りとなっていることが、ソニーとの比較で分かった。また、低音の量感は、意外にもiPod touchの方がある。チェロやコントラバスが活躍するようなクラシック音楽の作品では、iPod touchの方に分がある。


◆◆iTunesとの連携◆◆

ウォークマンをパソコンにつないで中を開くとmusicというフォルダが見えるので、そこにiTunesに入っている曲をドラッグアンドドロップするだけ。特別の操作をしなくても、ジャケット写真も自動的に同期される。私は基本的にはSDカードメインで使用しているが、曲を本体とSDカードに適当に入れていっても、それぞれ区別されることもなく同じリスト上に表示される。パソコンとつないだ後にiTunesにバックアップすることもないので、iPodよりも速い。クラシック音楽の作品で多いのだが、同名の曲などは、フォルダにコピーするときに、どちらを残すかみたいな表示が出るので、どちらも残すにチェックをする(その場合、曲名の後に自動的に番号が付く)のが面倒と言えば面倒な点だ。


◆◆SDカードで容量を増やせる◆◆

元々容量に困ってウォークマンを買ったこともあり、64GBや128GBのSDカードを使用できるのは嬉しい。長時間のオペラも容量を気にせず入れている。


◆◆付属イヤホンについて◆◆

単体で1万円くらいするノイズキャンセリングイヤホン『IER-NW500N』が付属する。価格的にはかなりお得だ。音質は当初感じた「スカスカ」からかなり改善してはいるが、特徴的なものではなく、癖もなく、きわめてスタンダードなものだ。ノイズキャンセリングという「飛び道具」分にコストがかかっているとはいえ、音質面で3,000~5,000円のイヤホンのレベルは超えている。また、さらなるエージングで改善してくるかもしれない。

気になったのはケーブルが細い点だ。すぐに断線するわけではないと思うが、本体に巻いて傷んでもいけないので(何といっても単品で1万円である)、別売りのイヤホンケースを購入した。

ノイズキャンセリングについては、カナル型ということもあって、家で聴いていると、人の話し声も全然聴こえなくなるが、地下鉄ではそこまで劇的には消してくれない。『MDR-NC33』の頃からは向上しているが、BOSEの『QuietComfort20』ほどではない。また同じソニーでも、もっと高価な『WH-1000X』のようなノイズキャンセリングヘッドホンと比べても、感動を覚えるレベルではない。不足はないが、ハイエンドのものとは確かに違う。しかし地下鉄の騒音(轟音)の中、シューベルトピアノソナタを聴くことができるなんて、昔では考えられないことだ。


◆◆一緒に買ったもの◆◆

純正ソフトケースとイヤホンケース(純正がないので、オーディオテクニカのもの)を購入。


◆◆悪い点・改善点◆◆

アラームがない。これは様々なことができるiPod touchと違って、音楽プレイヤーだからなのかもしれないが、目覚まし時計機能やアラーム機能がないし、単純な時計(時刻表示)機能がない。本体設定で時刻を設定するのだが、それはただ設定するだけで、録音や音楽のデータベースに使用されるだけで、単純な時刻表示機能すらない。例えば、音楽を聴きながら寝て、何時に起きるみたいなことができない。それどころか、何分後にアラームなどの機能がない。例えば、音楽を聴きながら、電車で寝てしまったときに、15分後には起きたいなどのニーズには対応できない。これは困る人は本当に困るかもしれない。



私が聴くのは主にクラシック音楽で、ジャズも結構な頻度で聴き、ポピュラー音楽もたまに聴く。今の割合では、6:3:1というくらいの割合だが、『NW-A56HN』は、特に苦手なジャンルもなく、最近のソニーのオーディオ製品らしくオールマイティーな音楽プレイヤーだと感じた。そんなわけで、どこに行くにも持って出掛けている。