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心斎橋『ばらの木』


久しぶりに心斎橋の『ばらの木』に行った。


以前には時々行っていたが、何年ぶりだろう。この周辺を歩くことが少なくなって、めっきり行くことがなくなったのだ。


その日、私は休日で、梅田から難波まで歩く途中だった。地下鉄御堂筋線であれば10分少々で到着する距離をわざわざ歩くのは何故か。そこに御堂筋があるからだ、と答えてみたところ、全く格好がつかない。特に理由もないのに私は時々、梅田から難波まで御堂筋を歩いている。距離にすると大したことはないのだが、クリアした時に、何か達成感のようなものがあって、難波のグリコの看板を過ぎて、高島屋なんば店まで辿り着くと、大した成果でもないはずなのに、多少の充実した気持ちを抱くことができる。それは、「淀屋橋から大国町まで」や、「本町から昭和町まで」では得られないタイプの達成感で、「梅田から難波」というのが別格であって、キタの梅田とミナミの難波というのが収まりもよく、両者をだいたい一本の線で結ぶ御堂筋を徒歩で歩くというのが、休みの日の小さな楽しみとなっている。



『ばらの木』は心斎橋なので、行程の四分の三を過ぎた辺りにある。昼時をやや過ぎていたため、店の外まで閑静な雰囲気が漂っていた。不思議なもので、中を見なくてもなんとなくそういう雰囲気は伝わってくるものだ。


店にはいると先客は若い男性客が一人だけ。その後、それほどしないうちに私一人となる。


カウンターだけの店で奥行きがある。照明は暗めで、食器が壁際の棚に高い密度で並べられている。地震があったら一発で全部落ちるだろうというギリギリのところで並べられている。大阪の地震後のことだったが、大丈夫だったのだろうか。


私はメニューからそれほど悩まずに今日の注文を決めた。昼でもメニューは豊富だが、私はハンバーグと真鯛のクリームコロッケのセットを注文する。エビフライが大変おいしいのを知っていて捨てがたかったが、久しぶりなのでよく注文していたものを注文した。


ハンバーグを焼く「ジューッ」という音だけが、静かな店内に響く。料理を待っているのは、私しかいないので、私のためのハンバーグが焼かれている。



まずは本汁のスープが提供される。ジャガイモの冷製スープだ。ジャガイモの冷製スープは確かビシソワーズというのではなかっただろうか。私はジャガイモの冷製スープがとても好きなので、あっという間に飲んでしまう。



その後、メインの皿が提供される。ハンバーグと真鯛のクリームコロッケと生野菜が一枚の皿に盛り付けられている。真鯛のクリームコロッケにはタルタルソースがかかっていて、レモンも添えられている。



ハンバーグは繋ぎ少な目のとても柔らかいもので、ファミレスのハンバーグとは一線を画す。その日に使う分だけを、店でミンチにし、こねて、焼く。このハンバーグは大変おいしく、ハンバーグというもののイメージの基準となるようなものだ。ソースは苦めの大人のソースで、この辺もとても好みだ。


梅田から歩いて、少し疲れた上に、私は空腹だった。こんな日は洋食がぴったりだ。


真鯛のクリームコロッケは、結構他では見ない珍しいものだが、こちらの店ではずっと以前からメニューにある。サクサクの衣をかじるとホワイトソースの濃厚な旨みが口に広がる。真鯛はたっぷり入っていて、ソースと抜群の調和を見せる。もっとたくさん食べたいが、大きさは上品なレベルで、また次に食べたいと期待させる。


食べ終わると、もう客は来ない雰囲気だった。やがて店も昼の営業を終え、夜の営業に備えるはずだった。私は会計を済ませる。マスターが扉を開けてくれ、最後の客となった私は充実した気持ちで店を出る。




外は暗い店内と打って変わって、眩しい太陽が通りを照らしていた。私は難波までの最後の行程を済ませるべく歩き出した。

『グリルばらの木(ばらのき)』
住所:大阪府大阪市中央区東心斎橋1-16-14ばらの木ビル1F
営業時間:11:30〜15:00/17:30〜21:00(O.S.)
定休日:月曜日