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神戸元町・洋食『ゲンジ』


関西に住んでいるとビーフカツ(多くの店のメニューには「ビフカツ」と書かれている)はポピュラーな食べ物だが、中部地方に住んでいた昔を思い出してみると、ほとんど食べた記憶がない。私にとってカツと言えばトンカツのことでだった。牛肉をカツにするなんていう発想がなかった。


30年くらい前に書かれた村上春樹氏のエッセイの中でも、地元の神戸ではよく食べていたのに「東京にはビフカツを食べられる店がほとんどない」ため、ウィーン料理の「ヴィナーシュニッツェル」で代用しているなんてことが書かれていて、全国的には、当時、ビーフカツはそれほどポピュラーな食べ物ではなかったことが垣間見える。


私は大学で関西に来て、神戸の『もん』という店に行ったとき初めて食べて、これは断然アリだと思った。豚肉に比べると断然ジューシー。それはいままで食べたことのない禁断の味だった。ビーフカツとトンカツとのあまりの違いに驚いた。また値段も高価でカルチャーショックを覚えた。


先日、ビーフカツが無性に食べたくなって、神戸の元町まで行ってきた。大阪でも食べられるが、わざわざ神戸まで出かけて行った。地下鉄のみなと元町駅で降りて、徒歩5分くらいのところにある『ゲンジ』という店に行った。


平日の昼前だったのでとても空いていて、私が初めての客だった。オープンキッチンで厨房の様子が見える。これからのランチタイムに備え、サラダと付け合わせのスパゲッティが載せられた皿が何枚も準備されている。



私が注文したのは、ビフカツのにエビクリームコロッケがセットされたメニューだ。1,680円だった。やや高価とはいえ、ビーフカツにしては相場から言って安い方かもしれない。


ソースは思ったよりもあっさりしていて、気取った感じはなくて、庶民的だ。肉の火の通りはレアで、ビフカツにはこのくらいがちょうどよい。口当たりはサクッとしているが、そのあとに訪れるのはまるでステーキのような、牛肉の濃厚な旨みだ。


エビクリームコロッケには大きめの野菜やエビがゴロゴロ入っている。このエビクリームコロッケは本当にレベルが高い。


私は会計を済ませると、とても満足した気持ちで店を後にした。今では全国的にもビーフカツを食べられる店も増えてきたが、本場の神戸で食べる老舗のビーフカツは、やはり一味違う。歴史という衣を纏っている気がする。

【ゲンジ】

住所:兵庫県神戸市中央区元町通3-17-8 TOWA神戸元町ビル 1F
営業時間:11:30〜15:00/17:00〜21:00
定休日:火曜・第1水曜


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